一般社団法人 生きがいづくり研究所は、岩手県を拠点にフットケアの技術向上のための勉強会を行っています。なぜ、フットケアが生きがいにつながるのか不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

きっかけは2003年の春頃に読んだ「日本の高齢者は適正なフットケアを受ける機会が少ない」という日経新聞の記事でした。それまで私は「足の健康」について別段考えたことはありませんでした。しかし、一人一人が人らしく暮らし、お互いにつながり合い、生きがいを持って生きていければ世界もきっともっと良くなるのではないかとずっと感じておりました。そこで足の健康から人生そのものを変えられるのではないか、と記事を読んで以来ずっとリサーチを続けてきたのです。

大地を踏みしめる足は人間の健康な生活の基本なのに、それが日本ではおざなりにされています。以来、フットケアについてリサーチを重ねた結果、欧米ではフットケアの専門職は既に認知されていますが、日本人は足をおろそかにしているがために高齢者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)が著しく低下したり、介護者の負担が増えているという現実を知りました。

実際に介護の現場では多くの専門職の方がフットケアの重要性を感じていますが、当時は殆どの場合、施設や病院で積極的な対策をするまでには至っていませんでした。そこで「誰もやらないなら、私がやるしかない」と一般社団法人 生きがいづくり研究所の立ち上げに至りました。足のケアをすることによって、生活の質が向上した利用者さんが喜んでくれることこそが、介護者の「生きがい」であり、「働きがい」になるのではないでしょうか。

最初は手探り状態で「フットケアから生きがいを創出する」という目標に向かって歩き始めましたが、私が一回目の講演会を開いた際には、有料であったにも関わらず医療従事者、介護専門職の方を中心に200名の方にお集まりいただき、多くの専門家が私と同様の考えを持っていらっしゃるとわかったことは、私にとっても大きな力となりました。

爪切りで歩き方が変わる。
歩き方が変われば生活の質が変わる。
生活の質が変われば、生きがいが生まれる。

私はそう信じております。

一般社団法人 生きがいづくり研究所
代表理事 折笠 無我