理学療法士視点!姿勢改善への第一歩「足爪の健康がもたらす驚き」

姿勢がすっと伸びている綺麗な姿は、誰が見ても気持ちの良いものです。今回は、姿勢と足の指や爪との関係性についてお伝えします。 一見関係がなさそうな足の指や爪を健康に保つことで姿勢も変わってきます。

 ”正しい姿勢”ってどんな姿勢?

そもそも”正しい姿勢”とはどんな姿勢なのでしょうか。

 簡単に自宅で自分でできるチェック方法があるので是非試してみてください。

  • 両足を肩幅に開いて、かかとを壁につけて立ちます。
  • 後頭部、胸の後ろ、お尻が壁について、腰の後ろに手のひらが入る程度の隙間が空いていればOKです。壁から離れている部分がないか、確認してください。

正しい姿勢とは、  視覚的には、背筋が伸びて、地面に対してまっすぐ垂直に立っている状態です。一方、機能的には「 すぐに動くことができる姿勢」と表現されます。

つまり、環境の変化に対して、即座に動くことができるような姿勢を、人間は美しく、 健康的に感じるということです。逆に、まっすぐ立っておらず、体が偏っていたり、 膝が曲がっていたりすると、重心が偏っているため、外界の刺激に対してすぐに反応することができません。よろけて転倒してしまうことが容易に推測できます。人間の脳は、人の姿勢から一瞬でそういったことを判断し、「健康的=美しい」と感じているのです。

姿勢における足の役割

人間にとって足は最も重要で機能的な器官であると言えます。 人類が誕生して以来、足は生存するための食料を探すための重要な機関であり、種の存続のためにかけがえのない機能を有しています。だからこそ、人体の全体の筋肉のうち、実に70%が足に集約されています。

足には姿勢を変化させる要因が多くあります。股関節、膝関節、足関節、足趾などが姿勢を決める要因となります。これらのアライメント(配列)と機能障害によって、姿勢は大きく変わってしまいます。

例えば、変形性膝関節症を発症し、膝関節の機能障害が生じ、本来伸ばすことができる位置まで膝を伸ばせなくなってしまうと、膝が常に曲がったままになり、  背中が曲がった立位姿勢しか取ることができなくなってしまいます。

姿勢には背骨(脊柱)の健康も大きく関わっていますが、足に関して言えば、上述のそれぞれの関節の状態を健康に保つことができれば、姿勢を正しく保つ基本的な機能は備わっていると言えるでしょう。そして、一見あまり関係なさそうに思える「足指の関節」も姿勢に大きく関係しています。

足趾の健康が姿勢を決める

足趾の機能障害で最も多く目にする機会があるのは、”外反母趾”ではないでしょうか。

外反母趾になると、足の裏の”アーチ”という体を支える機能が低下します。アートとは、土踏まずなどの”湾曲”のことで、この湾曲があることで、足は歩く時に衝撃を吸収したり、バネの役割をして歩行のサポートをしています。アーチが崩れると、体の重みで下腿の骨が体の内側に寄っていくため、そのまま長年経過すると膝関節に影響が出てきます。 

「人間の体は全て繋がっている」といわれたりしますが、正しくその通りで、足趾の状態が変わるだけでO脚や変形性膝関節症などを誘発する要因になります。こうやって連鎖的に正しい姿勢を保つことができなくなってきてしまいます。

つまり、足の指の状態を健やかに保つことが、その上の関節である、足関節、膝関節、股関節の機能を維持し、健康的な姿勢を維持するために非常に重要である、ということです。

足の爪を整える

では、足の指の健康はどうやって自分で守れば良いのでしょうか。それは、「普段からこまめに爪の手入れをすること」です。

足の爪が深爪していたり、切らずに長いままだったりすると、長期的に見ると足指の変形の原因になったり、怪我に繋がることもあります。足の爪を普段からお手入れすることで、いくつになっても健康的な姿勢を維持する土台(健康的な足趾)ができます。普段なんとなく手入れしている足の爪も、以下の点を注意してケアすることで、より健康的な足と姿勢を手に入れることができます。

足のチェック&爪の手入れ方法

足に何らかの異常がないか、毎日チェックしましょう。足の指1本1本、足の指の間、爪、かかとなどもしっかりとチェックします。チェックポイントは以下のとおりです。

  • 傷やあざはないか
  • タコや魚の目はできていないか
  • 水虫などがないか
  • 巻き爪や変形、変色などしていないか
  • 肌が乾燥していないか
  • 冷えやむくみがないか
  • 痛みやしびれはないか
  • 感覚のない部分はないか

これらの項目をチェックして、何らかの異常が足に見つかった場合は、保湿などで対処しましょう。

足指でしっかり大地を踏みしめて、力強く安定感のある歩行をするためには、足爪の長さと形状は、

  1. 指と同じ長さ
  2. スクエアオフ(四角形の角がとれた)形状

が理想的です。

爪切りでカットする場合、爪の先端部は、丸く切らずにまっすぐ切ります。この後に、爪やすりで四角の角が取れた状態に爪を整えましょう。丸くラウンドさせるように爪を整えると巻き爪の原因となります。

まとめ

人は、体が健康的な状態であれば、自然と姿勢も美しくなります。 姿勢を決める要因には、脊柱、足関節、膝関節、股関節などが大きく関係しています。なかでも 土台となるのは足の指です。 足の指が変形したり異常がある状態だと、 その上に乗っかっている足関節や膝関節、股関節など全てのバランスが崩れてしまい、結果、姿勢が悪くなってしまいます。

足の健康を保つためには、 まず足の爪を健やかな状態に保つことが基本です。足の爪を手入れする際は、深爪せず、足指と同じ長さに切り、 スクウエアオフ(四角形の角が取れた)形状に整えることが大切です。 いつまでも健康的な美しい姿勢を保つために、ぜひ試してみてください。