理学療法士視点!タコと魚の目の違い、足の裏の芯の対処法。姿勢の影響は?

足の裏にできると痛い「魚の目」や「タコ」。魚の目の医学的な名称である「鶏眼(けいがん)」は、ニワトリの目になぞらえて名付けられました。これに対して、一般的にはより身近な魚の目に例えられた「魚の目」が定着したと考えられます。今回はタコと魚の目の違い、足の裏にできる痛くて厄介な「芯」の対処方法についてご紹介します。

タコと魚の目の違い

足の裏にできた硬い部分、タコと魚の目。見た目が似ているため、どちらか区別がつかないという方も多いのではないでしょうか。実は、この2つは原因や症状が異なります。

「タコ」は、靴が合わない、同じ姿勢を長時間続けるなど、繰り返される摩擦や圧力によって皮膚が厚く、硬くなったものです。痛みはほとんどなく、広範囲に硬くなっているのが特徴です。

一方、「魚の目(鶏眼)」は、尖ったものや硬いものに足が当たるなど、局所的な圧迫が原因で、皮膚の中心に芯ができ、その周囲が硬くなったものです。芯が神経を圧迫するため、歩くと痛みを感じます。

タコ・魚の目の診断は比較的容易ですが、見ためで間違えやすいのは「イボ」です。イボはウイルス感染によるもので手足にでやすく、タコや魚の目と区別がつきにくいことがあります。

「タコと魚の目の違い」

特徴

タコ

魚の目

原因

繰り返される摩擦や圧力による皮膚の角質化

尖ったものなどによる局所的な圧迫

見た目

広範囲に硬く盛り上がる

中心に芯があり、周囲が硬く盛り上がる

痛み

痛みはほとんどない

芯が神経を圧迫するため、痛みがある

できる場所

足の裏だけでなく、手や指などにもできる

主に足の裏にできる

足の裏に固い芯がある場合の対処法

足の裏に固い芯がある場合、多くは魚の目です。対処法としては、市販の魚の目パッドが手軽に試せます。薬局などで購入できる魚の目パッドは、芯を柔らかくして除去する効果があります。また、市販の足裏の角質を柔らかくして除去する薬用クリームや液剤も魚の目を柔らかくします。市販薬で改善しない場合や、痛みがある場合は、皮膚科を受診しましょう。医師は、状態に合わせて適切な治療法を提案してくれます。魚の目の医療機関の対処法は、角質を軟膏などで柔らかくしてメスやハサミで削り取ります。グラインダーという電動のヤスリを使うこともあります。魚の目の場合、芯を除去しないと痛みが残ってしまい、再発する可能性が高くなるのでしっかり取り除く必要があります。

魚の目とタコの予防策

魚の目もタコも局所の圧迫が原因で起こります。なので、局所への圧迫を避けることが重要になります。足に合ったサイズの靴を選び、靴擦れを防ぎ、 靴に適切なインソール(中敷)を入れることで、足への負担を軽減できます。また、定期的に足の裏をケアし、角質を柔らかく保ちましょう。1日の終わりの入浴の際でも結構ですので、温かいお湯に足を浸け、角質を柔らかくしてから軽くなでるように角質を落としましょう。足を清潔にした後、保湿クリームでしっかりと保湿しましょう。皮膚が柔軟になることでタコと魚の目の予防になります。

タコ・魚の目と姿勢の関係性

姿勢が悪いと、特定の場所に圧力がかかりやすくなり、タコや魚の目ができやすくなります。タコ・魚の目は、単に足にできた皮膚の硬化ではなく、体の使い方、特に姿勢と深く関わっていることがあります。姿勢を正すことで、魚の目の予防だけでなく、腰痛や肩こりなどの他の体の不調の改善にもつながることが期待できます。

肥満も足への負担を増やすため、適正な体重を維持するように心がけましょう。O脚やX脚の場合、体重が足の一部に集中しやすく、タコ・魚の目ができやすくなります。猫背でも、重心が前にかかり、足への負担が増加し、タコ・魚の目ができやすくなります。全体的に姿勢が悪いと、足の血行が悪くなり、皮膚の再生能力が低下し、タコや魚の目が治りにくくなります。また、姿勢不良により、足の筋肉のバランスが崩れ、足裏のアーチが崩れることがあります。これにより、体重が均一に分散されなくなり、タコ・魚の目ができやすくなります。

タコ・魚の目を予防するための良い姿勢とは?

猫背にならないように、背筋を伸ばして歩きましょう。コツとしては、顎を引くことで、首や肩の負担を軽減し、姿勢を正すことができます。肩に力が入っていると、体が硬くなり、姿勢が悪くなりがちです。肩の力を抜いてリラックスしましょう。また、骨盤は姿勢の要です。骨盤を立てることで、体の中心軸が安定し、姿勢がよくなります。

タコ・魚の目を予防する歩き方

タコ・魚の目の予防には、正しい歩き方もとても重要です。足の裏全体で地面を捉え、衝撃を分散させることで、特定の場所に圧力が集中するのを防ぎます。前かがみで歩くと、足の前方、特に指の付け根部分に強い圧力がかかり、タコ・魚の目ができやすくなります。ハイヒールを履いている時も、前に体重がかかりやすいため、同様のことが起こりえます。また、できるだけ足指をしっかりと使って歩くことで、足の筋肉が働き、バランスが安定します。

まとめ

「タコ」は、靴が合わない、同じ姿勢を長時間続けるなど、繰り返される摩擦や圧力によって皮膚が厚く、硬くなったものです。痛みはほとんどなく、広範囲に硬くなっているのが特徴です。

一方、「魚の目(鶏眼)」は、尖ったものや硬いものに足が当たるなど、局所的な圧迫が原因で、皮膚の中心に芯ができ、その周囲が硬くなったものです。芯が神経を圧迫するため、歩くと痛みを感じます。

両者とも足裏への繰り返される刺激・圧迫が原因となるため、適切なサイズの靴を履き、角質を柔らかくするフットケアを行うことが大切です。魚の目ができてしまったら、市販の魚の目パッドや軟膏を試してみるとお手軽です。痛みが強い場合や改善しない場合は皮膚科を受診し、角質を柔らかくした後に削ってもらうことで痛みは改善されます。姿勢や歩き方も発生要因になるので、普段から姿勢が良くなるように、姿勢の保持や適度な運動・ストレッチを心がけ、身体の状態を健やかに保っておくことが大切です。