理学療法士おすすめ!歩きすぎた後の足の疲れを解消する方法

長時間歩いたあとや、立ち仕事、移動の多い仕事の後に足が疲れるのは、日常生活でよくある悩みです。今回は、そんな日常で感じる足の疲れの主な原因と対策についてご紹介します。

足が疲れる主な原因

足が疲れる主な原因は以下の通りです。

①筋肉の疲労と緊張

長時間歩くことで足の筋肉が酷使され、筋肉の中に疲労物質がたまり、筋肉が硬くなり疲労を感じます。 過去には ”乳酸”が疲労物質であるとされていましたが、 現在では否定されており、活性酸素の影響などが疑問視されています。

②血液循環の悪化

長時間立ち続けたり歩き続けると、血液循環の悪化によりむくみやだるさが出現します。

③靴の影響

サイズが合わない靴やクッション性の少ない靴を履くと、足に負担がかかりやすくなります。女性の場合 かかとが高くなった ヒールなどを履くことでも 姿勢バランスが変わり、 足腰の疲労を招きやすくなる場合があります。

④姿勢の問題

悪い姿勢や歩き方の癖によって、特定の部位に負担が集中し、疲労が蓄積しやすくなります。

”痛みの種類”にも注意!

足が疲れた時に感じる 足のだるさは医学的には「鈍痛(どんつう)」と呼ばれます。 その名の通り、「鈍い痛み」のことです。 この痛みは、慢性的な症状が起きている時に出る痛みです。一方、急性期には、「鋭痛(えいつう)」があります。 これは怪我をした時に感じるような鋭い痛みです。足の疲れは普通、 鈍痛を足全体に感じるものですが、なかには、歩きすぎた後に足首や膝などの関節に鋭い痛み「 鋭痛」 を感じる場合があります。

この場合は、後述する方法を行なっても痛みやだるさを解消できないので注意が必要です。その場合は、少し様子を見て、痛みが収まらない場合は医療機関を受診してください。

足の疲れを解消する簡単な方法

足の疲労は、筋肉に溜まった疲労物質を流すことで回復が早くなります。つまり 、足の血流を良くすることで早期に疲労回復を図ることができます。 足の血流を上げる方法には以下のような方法があります。

①足を高く上げて寝る

横になり、クッションや枕を使って足を心臓より高い位置に置きます。これにより、血液が足から心臓に戻りやすくなり、むくみや疲れが軽減されます。 寝る時には足の下にクッションを入れて寝てみましょう。

②温浴でリラックス

40℃程度のお湯に10〜15分間 入浴すると効果的です。血行が促進され、筋肉がリラックスします。疲労回復効果を高めるために、エプソムソルトやアロマオイルを加えるのもおすすめです。入浴による血流改善によって足の疲労だけでなく、肩こりや腰痛なども緩和されやすくなります。また、就寝の90分前までに入浴を済ませて体を温めておくことで、睡眠の質が深くなることも 研究で示されています。夏でもシャワーで済ませず、入浴する習慣があることが望ましいとされています。

③ストレッチで筋肉をほぐす

ストレッチをすることで、筋肉をほぐし 血流を良くすることができます。 まれに筋トレとストレッチを混同されている方がいらっしゃいます。筋トレは主に筋肉を増大させるために負荷をかけて筋肉を強い力で収縮させる事を指し、ストレッチは筋肉を柔らかくするために筋肉を伸ばす動作のことです。ストレッチのコツは「力を入れないこと」です。できるだけ脱力して関節と関節を離すような動作をすることで、ターゲットとする筋肉をストレッチさせることができます。

ふくらはぎのストレッチ

立ったまま、壁に手をつき、片足を後ろに伸ばし、かかとを床につけたまま前足を軽く曲げてふくらはぎを伸ばします。歩いた後は特にふくらはぎに疲れが出やすいので 入念に ストレッチすることで 疲労物質を流します。

足裏(足底腱膜)のストレッチ

座った状態でゴルフボールやテニスボールを足裏で転がすと、足底筋膜が緩み、足の緊張をほぐす効果があります。

お尻(中臀筋)のストレッチ

椅子に座り、膝の上に足首を乗せ、足を組みます。 そのまま体を前に倒すことで足首を乗せた方のお尻がストレッチされます。 立ち仕事が多い方も  お尻(中殿筋)が非常に疲れるので、 日常的に行うと、疲労が溜まりにくく、より精力的に仕事に取り組めます。

④マッサージとツボ刺激

足裏やふくらはぎを指や手のひらで揉みほぐします。以下のポイントを意識すると効果的です。

  1. 足裏の土踏まずやかかとを重点的に揉む。
  2. ふくらはぎを下から上へ、血液を心臓に戻すように揉む。

 より簡単にできるものとして、 「ツボを刺激する」方法もあります。

手の甲で、親指と人差し指の交わる線の間にある「合谷(ごうこく)」と呼ばれるツボを、反対の手の親指でグリグリとマッサージすることで疲労回復効果があるとされています。

足では、足の裏の真ん中、土踏まずの少し上のくぼみに「涌泉(ようせん)」があり、ここをグリグリと刺激することで全身の血流を改善し、疲労回復効果があるとされています。

⑤栄養補給を心がける

足の疲労回復には、以下の栄養素を含む食品を摂ると良いでしょう。 

  • マグネシウム(アーモンドやほうれん草):筋肉の緊張を緩和します。
  • ビタミンB群(豚肉やバナナなど):エネルギー代謝を助け、疲労感を軽減します。

体が疲れたと感じる時に、糖分を摂取することで疲労が回復すると思っている方も多いと思います。過剰な糖分は「糖化ストレス」を体に与え、疲労の原因になります。

糖分を体で処理する際に必要な栄養素は「ビタミンB1」です。ビタミンB1は糖質の代謝に欠かせない栄養素ですが、疲労回復にも欠かせないため、糖分の過剰摂取は逆に疲労を招く原因になります。

お菓子などからは糖分を摂取せず、普段の食事のお米からでも十分糖分を摂取できているので、 疲労を感じた時に、糖分を過剰に摂取する必要性はあまり高くないといえます。 

⑥正しい靴を選ぶ

クッション性が高く、足に合った靴を選ぶことも疲労を防ぐポイントです。また、インソールを使用すると負担が軽減できます。

運動靴で過ごすと、足は疲れにくくになりますが、革靴を履かなければいけない場面や、おしゃれで運動靴以外を履きたい場合もあると思います。 その場合も、できれば靴底のクッション性の高いものを選ぶと足の疲労が少なくなります。 最近では、運動靴のように歩きやすい革靴なども市販されているので、チェックしてみるのも良いかもしれません。

まとめ

歩きすぎた後の足の疲れは、筋肉の疲労や血液循環の不良、合わない靴や疲れやすい靴を使っていることが主な原因です。入浴することや、ストレッチ・マッサージ(ツボも活用しましょう)、栄養補給などを心がけることで効率よく疲れを解消できます。足を上げて寝るだけでも翌朝の疲れが全然違うので、ぜひ試してみてください。