訪問マッサージをしないことで起きるリスクとは?

訪問マッサージを上手に活用されていますでしょうか?

訪問マッサージは低費用で自宅にいながらマッサージを受けることができる、大変素晴らしいサービスです。訪問リハビリは聞いたことがあるけど、マッサージとどう違うの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。今回は、訪問マッサージを使わないことで起こる様々なリスクについてお伝えします。

訪問マッサージとは?

訪問マッサージは、あん摩・マッサージ指圧師がご自宅に伺い、疼痛の緩和を目的にマッサージを行います。介護保険ではなく、医療保険のみが適応となります。医師の同意書が必要になります。

訪問マッサージとよく混同されがちなサービスとして、訪問リハビリがあります。

訪問リハビリは、主に介護保険で認定を受けた要支援・要介護者を対象に、身体機能の維持向上、ADL獲得を目的としたリハビリを、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが行います。医療保険に加えて介護保険も適用されるのが特徴です。医師のリハビリテーション指示書、または情報提供書が必要になります。

マッサージの効果

訪問マッサージを受けることで以下のような効果があります。

疼痛緩和

マッサージにより血行を促進することで痛みを和らげます。 運動不足や不動、寝たきりによる関節や筋肉などの緊張を和らげます。

血液・リンパの循環改善

血液・リンパ液などの循環は、酸素と栄養素を身体の隅々まで運び、老廃物質などを取り除く大切な役割があります。 血行の促進は、新陳代謝を良くし、浮腫を軽減したり全身疲労を回復させる効果があります。

心肺機能の改善

筋肉の凝りをほぐしたり、関節が動きやすい状態を維持することで、結果的に普段の活動量が増えます。歩く量や頻度が増えれば、心肺機能の改善が期待できます。心肺機能は「疲れやすさ」にも大きく関係しているので、心肺機能を改善させることで元気で疲れにくい体を維持することができます。

関節可動域の拡大・維持

麻痺や廃用症候群、怪我による筋力低下は、筋萎縮や関節拘縮を引き起こします。 これらを予防するため、関節周囲の筋緊張緩和や関節可動域訓練などの機能訓練が必要となります。

その他

マッサージにより、オキシトシンやセロトニンなどのリラックスホルモンが分泌される効果(心理的効果)、ADL(日常生活動作)、残存機能の改善、廃用症候群の予防、QOL(生活の質)の向上を図ることができます。また、独居高齢者の場合は、定期的にマッサージ師が訪れることで安否確認になりますし、マッサージをしながら話し相手としても活躍するため、認知症予防にも効果があるでしょう。

訪問マッサージの意義

体の筋肉や関節の状態をマッサージで整え、心身ともに活発になることで、普段の活動量を上げて加齢による筋力低下や廃用症候群、さらなる関節拘縮の進行を予防することができます。

具体的には、歩くと膝が痛い方の場合、頑張って歩いても、痛みのためにどうしても歩行量は増えにくいものですが、マッサージにより痛みが緩和した状態で歩くことで無理なく歩行量を増やすことができます。

動ける状態を維持することで、長期的に生活習慣病をはじめとする様々な疾患を予防したり、健康を維持しやすくなります。

訪問マッサージをしないことで起こるリスク

では、訪問マッサージをしないことで起こるリスクにはどんなものがあるでしょうか?

上述のメリットの逆になりますが、

  1. 筋肉の凝りによる痛みの増大
  2. 血液循環の悪化
  3. 関節可動域の低下

などの身体的な機能低下が進行する可能性があります。身体の機能が低下すると、日中の活動量が低下し、長期的にみて様々な疾患を発症する可能性が高まります。

特に、

  • 脳卒中後遺症
  • 腰椎圧迫骨折後
  • パーキンソン病

などの高齢者に多い疾患は、なにもしなくても全身、あるいは腰部の筋肉の緊張が異常な状態になることが知られています。中枢性の筋緊張異常により筋肉が強張り、痛みや動きにくさが出ることが多いので、それ自体が活動を制限する因子になっている場合も少なくありません。

 

また、マッサージ中は基本的に様々な会話をします。独居高齢者の場合は、外部の人が家に出入りすることで定期的に家を片付ける習慣ができたり、日中はパジャマで過ごしていた人が着替えるようになったり、お化粧をしたりと、生活習慣のリズムを整える効果も期待できます。普段離さない人と話すことで脳への刺激が増え、認知症予防の効果も期待できます。

まとめ

訪問マッサージは保険を使い、低費用で自宅へマッサージ師が出張し、マッサージを受けることができるサービスです。

マッサージは、疼痛の緩和、血液循環の改善、心肺機能の改善、関節可動域の拡大、心理的なリラックス効果が期待できます。これらの効果を通して、歩く時間を伸ばしたり、生活習慣病をはじめとする様々な疾病を予防して末長く健康的な生活を維持することに役立ちます。

特に訪問マッサージがおすすめの方は、疾患により筋肉の異常症状がある方、具体的には、脳卒中後遺症や腰椎圧迫骨折、パーキンソン病の疾患をお持ちの方です。筋肉の痛みや硬さを放置しておくと、関節拘縮の因子になることもあります。訪問マッサージのサービスを上手く活用して末長く健康を維持していきたいものです。