理学療法士がリハビリで実際に行っている「足の指を鍛える運動」13選!
足の指の力は、私たちの健康と非常に深い関わりがあります。歩行や立位の際、足の指は地面をしっかりとつかむことで体のバランスを保ち、安定した姿勢や動作を支えています。特に高齢になると足指の筋力が低下しやすく、それが転倒やふらつきの大きな原因となります。転倒は骨折や寝たきりにつながるリスクが高いため、足指の力を維持することは健康寿命にも直結します。
しかし、どうやって足の指を鍛えれば良いのかわからないという方も多いと思います。そこで、今回は、フットケアとも関連が深い、足の指の運動方法について理学療法士が記事を作成しました。ぜひ参考にして見てくださいね。
足の指の力と健康との関係
足指の力は歩行時の推進力にも大きく関与しています。足指でしっかり地面を蹴ることができれば、歩行が安定して疲れにくくなります。逆に足指の力が弱いと歩行が不安定になり、膝や腰など他の関節に余計な負担がかかってしまい、膝痛や腰痛、さらには肩こりなど全身の不調につながることもあります。
また、足指の力は足裏のアーチ構造の維持にも不可欠です。足裏のアーチ構造は、足の裏にある3つのアーチ(内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチ)から成り立っています。これらのアーチは靭帯や筋肉、腱によって支えられ、歩行や運動時にバネやクッションの役割を果たし、地面からの衝撃を吸収・分散して体への負担を軽減します
アーチが崩れると扁平足や外反母趾などの足のトラブルが起こりやすくなり、これもまた歩行や姿勢に悪影響を及ぼします。加えて、足指の力を十分に発揮するためには、爪の健康も重要です。爪が弱かったり変形していると、しっかりと踏ん張ることができず、バランスや歩行の安定性が損なわれます。このように、足の指の力は単に足元の問題にとどまらず、全身の健康や日常生活の質にまで影響を与える重要な要素です。足指の筋力を意識して鍛えることは、健康維持や転倒予防、快適な生活のためにとても大切です。
日常生活の中で足の指を鍛える方法
では、どうやって実際に足の指を鍛えると良いのでしょうか。
日常生活の中で無理なく足の指を鍛える方法としては、特別な時間を設けず、普段の動作やちょっとした隙間時間に運動を取り入れることが効果的です。たとえば、朝起きたときや寝る前、テレビを見ながら、仕事や家事の合間などに、足指をグー・パーと動かす「足指じゃんけん」や、床にタオルを敷き、足指でたぐり寄せる「タオルギャザー」などの運動を行うと良いでしょう。歩く際にも常に足の指で地面を掴みながら歩くことを意識することで普段から足の指を鍛えることができます。
足指のストレッチ
また、足指の機能をきちんと発揮させるために、足指のストレッチもおすすめです。
手の指を足指の間に入れてゆっくり広げたり、足指を一本ずつ前後に動かすことで柔軟性が高まります。さらに、裸足で過ごす時間を増やしたり、つま先立ちで立ったり歩いたりすることも自然に足指を使う機会になります。
靴選び
靴選びにも注意し、つま先に余裕があり足指を自由に動かせる靴を選ぶことも大切です。これらの工夫を日常に取り入れることで、無理なく継続的に足指の筋力や柔軟性を高めることができます
足の指の運動13選
以下に実際にリハビリの現場で筆者(理学療法士)が行っている足の指を鍛える運動をお伝えします。
①足指グーパー運動
足の指をしっかり握りこぶし(グー)にし、次に思いきり開く(パー)動きを繰り返します。
②足指チョキ・逆チョキ運動
親指だけを反らして他の指を下げる「チョキ」、逆に親指だけを下げて他の指を反らす「逆チョキ」も効果的です。
③タオルギャザー
床にタオルを敷き、足指でタオルをたぐり寄せます。足指のリハビリで最も頻繁に行われ、足の指の屈曲(曲げる)と伸展(伸ばす)を交互に繰り返す動作を行います。
④ビー玉つかみ
足指でビー玉や小さな物をつかんで位置を移動させます。箱を置き、そこに入れてもOKです。
⑤ショートフット
親指の付け根と踵を近づけるように足裏を縮める運動です。
⑥足指ストレッチ(ゆびのば体操)
足の指の間に手の指を入れて、足の裏側や甲側をゆっくりストレッチします。
⑦足指ジャンケン
裸足になり、グー・パー・チョキ・逆チョキなど、足指でジャンケンの形を作ります。視覚(目)で確認しながら行ってください。簡単にできるのでおすすめです。
⑧足指でボール転がし
足の裏でボールを転がすことで、足指や足裏の感覚を刺激しながら、足指を使って鍛えることもできます。小児分野のリハビリなどでよく行われており、2人でボールを足指で掴んで相手に蹴る、という動作を繰り返すことでゲームのように楽しみながら鍛えることができます。
⑨背伸び運動
足指で地面をつかむようにつま先立ちになることで足の指を鍛えます。毎朝、全身のストレッチを習慣的に行っている方は、その動作のなかに背伸びを入れてみてください。
⑩親指と小指だけ床につける運動
親指と小指だけを床につけ、真ん中の3本指を浮かせる動きをすることで足の指を意識して動かす練習になります。
⑪足首と足指の連動運動
足首を曲げ伸ばししながら、同時に足指も曲げ伸ばしします。
⑫足指でペンや棒をつかむ
足指でペンや棒など細長い物をつかんで持ち上げ運動を行います。
⑬足指でタオルを丸める・広げる
タオルを足指で丸めたり、広げたりします。タオルギャザーと似ていますが、こちらは足首の動きも使ってタオルを丸める、広げるを繰り返します。
まとめ
足指の力は歩行の推進力や足裏のアーチ構造の維持にも不可欠で、足のトラブルや全身の不調を防ぎます。日常生活で足指を鍛えるには、「足指じゃんけん」や「タオルギャザー」が効果的です。足指のストレッチや、つま先に余裕のある靴選びも重要です。
足の指の力は、体のバランスや歩行の安定に重要であり、健康寿命にも影響します。足指の力と健康との関係、日常生活で足指を鍛える方法、足指のストレッチ、靴選びの注意点、そして具体的な足の指の運動方法13選をご紹介しました。足指の運動方法を知らない方も多いと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。これらの運動を行うことで、足指の筋力や柔軟性を高め、全身の健康維持や転倒予防に繋がります。