介護福祉士のフットケア|職場で役立つ足の観察と申し送りのポイント
1.「いつもと違う足元」に気づくことから

入浴介助のとき、靴下を脱いでもらったとき、ベッドから立ち上がるとき。介護福祉士さんは、利用者さんの足元と生活の様子を一緒に見られる立場にいます。「今日は靴を履くのに時間がかかる」「足に触れると顔をしかめる」といった気づきは、その後の相談につながる大切な情報です。フットケアという言葉から、爪を切る技術だけを思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、職場で役立つ学びには、足を見て、本人の話を聞き、自分が対応できる範囲を確認することも含まれます。この記事では、介護現場で取り入れやすい観察と共有の方法を紹介します。利用者さんの足をきれいに整える前に、まず何を確かめるのか。その順番がわかると、日々の介助で感じる迷いを整理しやすくなります。
2.入浴・更衣の機会に、見る順番を決める

観察の抜けを減らす工夫として、毎回同じ順番で見る方法があります。たとえば、靴下を脱いだら足の甲、足裏、かかと、指の間、爪、爪の周囲へと視線を移します。左右を比べ、以前の記録と違いがないかも確かめます。観察のために無理に関節を曲げたり、不安定な姿勢を続けてもらったりする必要はありません。本人が楽に過ごせる位置で、見ることの目的を説明して行います。「右のかかとに赤い部分がある」「左の親指の爪が前回より厚く見える」など、場所と変化を具体的な言葉にすると共有しやすくなります。忙しい日でも、足を隠していた衣類を外す機会を観察につなげる発想が役立ちます。すべてを一度に確認できなかった場合は、見られなかった部分も申し送りに残しましょう。
3.本人の言葉と表情を、両方の手がかりにする

「足は痛くないですか」という質問だけでは、困りごとを十分に聞き取れないことがあります。「靴を履いたときに当たるところはありますか」「靴下が引っかかることはありますか」と、生活の場面に合わせて聞いてみましょう。言葉で伝えることが難しい方には、触れたときに足を引く、表情がこわばる、靴を履くのを嫌がるといった反応も記録の手がかりになります。ただし、その反応だけで原因を決めつけることは避けます。寒さや姿勢、疲労など、別の事情があるかもしれません。「痛いはず」「わがまま」と解釈を先に置かず、起きたことをそのまま共有する姿勢が大切です。本人が「今日はやめてほしい」と話した場合も、理由を聞き、無理に進めず対応を相談します。足を見ることと、本人の意思を尊重することは一緒に進めたいケアです。
4.爪切りの前に、対応できる範囲を確認する

介護職が行う爪切りには条件があります。厚生労働省のガイドラインでは、爪自体に異常がなく、周囲の皮膚に化膿や炎症がなく、疾患に伴う専門的な管理を必要としない場合が対象です。専門的な管理の要否は医師または看護職員が判断します。厚生労働省のガイドライン。現場では、この条件と職場の手順を事前に確認し、判断に迷う足を自己流で扱わないことが大切です。「前にも切ったから」「本人が頼んだから」という事情だけで、今日も同じ対応ができるとは限りません。担当が変わっても確認できるよう、誰に相談するか、どの記録を見るかを決めておくと安心です。爪切りを見送った場合も、確認できたことと相談先を残せば、次の担当者が状況を理解しやすくなります。
5.靴・靴下まで見て、生活の困りごとを拾う

足の観察は、爪を見たところで終わりにしないようにしましょう。靴下にほつれや目立つしわがないか、本人がいつも同じ場所の当たりを気にしていないか、靴を脱いだり履いたりする動作に変化がないか。こうした点は、介助の場面でも確認できます。たとえば「いつもの靴だけ履きたがらない」という様子があれば、足元の変化とあわせて共有する材料になります。靴の変更や用具の調整が必要かどうかは、本人の希望や職場の方針、専門職の助言を踏まえて検討します。大きい靴なら楽だろうと決めつけたり、本人の了解なく履き物を替えたりすることは避けたい対応です。室内の移動、外出、リハビリなど、どの場面で困っているのかまで聞くと、相談の内容が具体的になります。足元を生活と結びつけて見る視点を持ちましょう。
6.清潔の支援も、本人に合う方法を共有する

洗う、拭く、靴下を交換する。普段の清潔の支援にも、チームで確認しておきたい点があります。本人が自分でできる部分はどこか、介助が必要なのはどこか、どの姿勢なら楽かを共有すると、担当者による違いを減らせます。「早く済ませたい」と急いで扱うより、声をかけながら本人の反応を確かめる方が、次に気づいたことを伝えるきっかけにもなります。皮膚の状態が気になる場合には、通常の手順を続けてよいか相談しましょう。見た目をきれいにするために硬い皮膚を削る、気になる部分を強くこするなど、習っていない対応を追加するのは避けます。保湿剤や外用薬も同じものとして扱わず、使用の指示や職場の取り決めを確認します。ケアの工夫は、本人にとっての心地よさと、実施する範囲の確認を土台に考えていきます。
7.申し送りは「場所・変化・本人の反応」で書く

「足がおかしい」「爪がひどい」という表現では、受け取った人が状況を想像しにくくなります。伝えるときは、左右と部位、前回との違い、本人の言葉や反応、実施したこと、相談した相手を分けて書くと整理できます。記録の例としては、「本日の更衣時、右親指の爪の横に赤みを確認。本人は靴を履くと当たると話した。爪切りは実施せず、担当看護師へ報告」のような形です。この例は記録の書き方を示したもので、実際の利用者さんの事例ではありません。病名を推測する代わりに、見た事実と聞いた言葉を残しましょう。相談の結果、次回の対応が決まったら、誰がどのように確認するかまで共有します。申し送りは異常の報告だけでなく、本人が安心して受けられた姿勢や声かけを次につなげるためにも役立ちます。
8.一人で抱えず、相談の流れを職場で決める

困ったときの相談先が曖昧だと、気になることがあっても「あとで聞こう」と後回しになりがちです。勤務中の看護職員、責任者、訪問看護など、職場の体制に合った連絡の流れを確認しておきましょう。写真を記録に使う場合は、本人への説明、職場の規程、使用する機器や保存先を確認し、個人のスマートフォンに残さない運用が大切です。赤みや傷などの変化を見つけたとき、誰が判断し、本人や家族へ誰が説明するのかも整理できます。介護福祉士さんがすべてを判断する必要はありません。気づいた情報を適切な相手に届けることが、自分の役割としてできる対応です。研修で学んだ内容も、職場の方法とすり合わせてから使います。個人の努力だけで終わらせず、相談しやすいチームづくりにつなげたいところです。
9.フットケアの基礎を学ぶと、質問が具体的になる

「足を見てください」と言われても、何を見ればよいかわからない。そのような不安がある方は、足と爪の構造、ケアの目的、器具の扱いなどを順序立てて学ぶことから始めてみませんか。基礎を学ぶ意義は、できる手技を増やすことだけではありません。「この足はどこを確認してもらえばよいか」「この姿勢では実施しにくいが、どう整えるか」と質問を言葉にする力にもつながります。受講前には、自分が職場で困っている場面を、個人情報を含めずに書き出しておくとよいでしょう。観察、申し送り、爪切りへの不安など、学びたい内容が具体的なら、講座を選ぶ際にも比較しやすくなります。学んだ後は、手順を自己判断で変更する前に、責任者や看護職員へ相談することまでを一つの流れとして考えましょう。
10.盛岡の足プロで、現場につながる学びを始める

足プロが大切にしているのは、爪切りを入口に足元だけでなく全身の様子や暮らしにも目を向け、目の前の方の思いを聞くことです。フィンランド式を基礎に日本の生活習慣に合わせた学びを案内しています。たとえば「靴を履いて外へ出たい」という希望を聞き、観察した変化をチームへ届けることも、その考え方を介護の現場へつなぐ一歩です。岩手・盛岡の足プロでは、介護職の方も対象とする「フットケア1日体験講座」と、3日間の入門コース「爪切りマイスター®基礎講座」を案内しています。まず学びを体験したい方、基礎から取り組みたい方は、公式の講座案内で内容をご確認ください。職場で爪切りを頼まれるものの不安がある方や、観察したことをうまく伝えたい方は、受講を考える理由を添えて相談すると、自分に合う学び方を検討しやすくなります。講座で扱う内容を職場で実施できるかどうかは、利用者さんの状態や職場の体制に合わせた確認が必要です。受講そのものが医療行為を行う権限になるわけではありません。目の前の方に向き合うための基礎を身につけ、足元の小さな変化を次のケアにつなげていきましょう。講座の受講相談・お申し込みはこちら。
参考情報の確認日:2026年9月13日。
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※足プロのケア・講座は、病気の診断や治療を行う医療行為ではありません。強い痛み、急な腫れ、出血、化膿、発熱などがある場合や、糖尿病・血流障害などで通院中の方は、自己判断せず医療機関へご相談ください。


