糖尿病フットケアで看護師が見るポイント|足の観察・セルフケア支援・医療への相談

「痛くない」という言葉だけで安心しない

糖尿病のある患者さんから「足は痛くないし、困っていない」と聞いたときも、足の状態を確認する機会を大切にしたいものです。糖尿病性神経障害では感覚が低下し、傷などに気づきにくくなることがあります。糖尿病情報センター・神経障害 看護師さんが行うフットケアでは、本人の訴えとともに、実際に見える変化、これまでの足の問題、日常の手入れの状況を合わせて考えます。この記事では、病棟、外来、訪問看護などで足の観察とセルフケア支援を行う際の視点を整理します。観察しただけで診断することはできません。気になる変化があれば、医師やフットケアを担当する医療者に報告し、その方に必要な評価や対応につなげてください。

足首に手を添えた足元
写真はイメージです

フットケアは、日々の療養支援の中で考える

糖尿病足病変には、血管や神経の問題などが関わり、傷、潰瘍、感染などにつながることがあります。足に気づいた変化を早く共有し、必要な診療や日常の支援につなぐことが大切です。糖尿病情報センター・糖尿病足病変 足のお手入れは、糖尿病の治療や全身の管理と合わせて考えます。「爪を切ったから大丈夫」「保湿をしたから問題はない」と一つのケアだけで判断しないようにしましょう。患者さんには、足を見る目的を「変化に早く気づき、困ったときに相談するため」と説明すると、日々の行動とつなげやすくなります。専門的な説明を一度に詰め込むより、本人の理解や気になることを確かめながら話すことが大切です。まず足を見せていただく理由を伝え、同意と負担に配慮して観察を始めます。

高齢の女性と記録用紙を持って話す支援者
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観察前に、これまでの足の問題を確認する

足を見る前に、足の傷や潰瘍の既往、これまで医療者から指摘された感覚や循環の問題、現在治療中の部位などを確認しましょう。痛みやしびれ、靴を履いたときの困りごと、いつもと違う感じがあるかも聞き取ります。本人が覚えていない場合は、看護記録や診療情報を、勤務先の手順に従って確かめます。質問を増やすだけではなく、「どの情報が今日のケアに関係するか」を考えて整理することが大切です。例えば足の傷で治療を受けているなら、普段の手入れについても担当医療者の方針を確認する必要があります。受診や検査の予定がある場合は、観察した変化をどこへ伝えるかも確認しておきましょう。患者さんの「いつもはこうです」という言葉は、変化を知る手がかりになります。初回の観察でも、今の状態と普段の状態を分けて聞くと情報をまとめやすくなります。

車椅子の女性と話しながらメモを取る支援者
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足の甲・足裏・踵・足趾の間まで見る

靴下を脱いだら、足の甲だけで終わらず、足裏、踵、足趾の間、爪と爪周囲まで順に確認します。傷や水疱、亀裂、皮膚の色の変化、腫れ、湿っている場所などを観察し、前回の状態と比べて記録しましょう。左右差や本人の訴えも手がかりになりますが、見た目だけで血流や感覚が正常と判断することはできません。必要な検査やリスク評価は、担当する医療者の方針に沿って行います。体勢がつらい方には、無理に足を持ち上げたり身体を曲げたりさせず、本人が楽な姿勢で見られる方法を考えてください。「足裏が見えない」という状態そのものも、自宅で観察を続けられるかを考える重要な情報です。観察の順番を職場でそろえておくと、忙しい場面でも見落とした部分を確かめやすくなり、担当者間で共有しやすくなります。

白い布の上に置かれた両足
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新しい傷や腫れは、次回まで待たずに相談する

新しくできた傷や水疱、赤み、腫れ、熱感、滲出液、皮膚の色の変化などがあれば、本人が痛みを訴えなくても、担当医や医療者へ速やかに相談してください。傷や感染が心配な場合に早めの受診が必要であることは、糖尿病情報センターでも説明されています。足の傷に気づいたときの相談 自宅では「次の訪問まで様子を見よう」と迷うこともあるため、変化があったときの連絡先を平時から決めておくと役立ちます。医療者に報告する際は、いつ気づいたか、どの部位か、どのように変化したか、本人の訴え、現在の全身状態を伝えます。発熱や急速な悪化などがあれば、勤務先の緊急対応手順に従って判断を求めましょう。自己流で削る、切り込む、傷をいじるといった処置は進めず、医療的な確認を優先します。

書類を見ながら相談する高齢の二人と相談担当者
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セルフケアは「知っている」と「できる」を分ける

「毎日、足を見てください」と説明しても、実際には見えない、届かない、どう見ればよいか分からないことがあります。本人に「普段、どのように足を見ていますか」と尋ね、可能な範囲で方法を確認してみましょう。足裏を自分で確認できるか、視力や手指の動きに困りごとがないか、手入れを助ける人がいるかなどを把握します。国立長寿医療研究センターでは、高齢糖尿病患者のセルフフットケアを評価する取り組みも紹介されています。セルフケア支援を行うフットケア外来 看護師が行える支援を考えるときは、できていない点を指摘するより、本人が続けられる方法を一緒に探すことが大切です。観察だけは本人が行い、見えない部分は家族や支援者が手伝うなど、役割を分ける方法もあります。本人の希望と支援者の負担を確かめて決めましょう。

屋外のベンチで高齢の女性と話す支援者
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清潔・保湿・爪の手入れを、足の状態に合わせる

日常のお手入れでは、清潔を保つこと、乾燥への対応、爪の手入れなどを、その方の足の状態に合わせて考えます。糖尿病情報センターのフットケアノートは、医療者と目標を考えながら、日々のセルフケアを身につけるために作成されています。フットケアノートの案内 「何を使うか」「どこに行うか」「どの状態では相談するか」まで、具体的に説明してもらえると患者さんも実践しやすくなります。傷や治療中の部位がある場合は、一般的なお手入れをそのまま当てはめず担当医療者に確認してください。足趾の間の皮膚や爪周囲に変化があるときも、まず状態の評価が必要です。本人が足を清潔にしようとしている努力を受け止めながら、無理のない方法を調整しましょう。できることが少なくても、観察を続けて変化を知らせる行動は大切なセルフケアです。

白い布の上に置かれた両足
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靴や靴下の困りごとも一緒に聞く

患者さんが普段履いている靴や靴下は、日常の足の状態を考える手がかりになります。「同じ場所が当たる」「脱いだあとに跡が気になる」「最近、履きにくくなった」といった困りごとがないか尋ねてみましょう。国立長寿医療研究センターの取り組みでも、足に適合した履物の指導がフットケアの内容として挙げられています。糖尿病患者へのフットケア 靴の選択や調整について専門的な対応が必要な場合は、担当医療者や関係する専門職へ相談します。足だけでなく、いつ、どこで、どの靴を使うかを聞くと、通院時には分からない生活上の問題を共有しやすくなります。新しい靴を一律に勧める前に、現在の足の状態、本人の使いやすさ、生活で必要な動作を確かめてください。患者さんの暮らしに合う方法を考えることが、継続のために大切です。

並んで微笑む二人
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記録と次回の確認で、支援を続ける

足の観察結果は、その日の状態とあわせて、どのように支援し、次に何を確認するかまで記録します。「足を観察するよう説明した」だけでは、本人が理解したか、実行できるかが分かりにくくなります。「本人は足裏の確認が難しいと話す。支援方法を相談し、次回に実施状況を確認する」のように、困りごとと次の行動をつなげると、担当者間で支援を続けやすくなります。この記載は架空の例で、実際の患者さんの経過ではありません。目標は一度に多く設定せず、「靴下を脱いだときに足を見る」など、本人が取り組める内容から相談しましょう。うまく続かなかった場合は、努力不足と考える前に、見えにくさ、身体の動かしにくさ、生活時間や支援の有無を振り返ります。患者さんと確認を重ねることで、説明した内容を日々の生活に近づけていくことができます。

車椅子の女性と話しながらメモを取る支援者
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足の観察を深めたい看護師さんへ

糖尿病のある方のフットケアでは、変化に気づく観察、必要な医療につなぐ判断、本人が続けられるセルフケア支援が欠かせません。足の状態を一人で判断しきろうとせず、チームの中で相談しながら経験を重ねていきましょう。足プロのメディカルフットケアワーカー資格講座は、足と爪の知識や技術に加え、異常の早期発見から医療につなぐ視点を学ぶ内容として案内されています。足プロの講座内容 本講座を受けることと、糖尿病足病変の診療や勤務先の専門研修を修了することは別に確認が必要です。岩手・盛岡で、足の観察や爪切りを基礎から学びたい看護師さんは、講座の申込み・相談フォームから、現在の経験と学びたいことをお知らせください。目の前の患者さんに必要な支援を考える力を、日々の看護の中で育てていきましょう。

高齢の女性と記録用紙を持って話す支援者
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メディカルフットケアワーカー資格講座のご案内講座のお申込み・ご相談

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参考情報の確認日:2026年9月12日。写真はすべてイメージです。

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※足プロのケア・講座は、病気の診断や治療を行う医療行為ではありません。強い痛み、急な腫れ、出血、化膿、発熱などがある場合や、糖尿病・血流障害などで通院中の方は、自己判断せず医療機関へご相談ください。