訪問リハビリと訪問マッサージの違いは?目的・保険・専門職を整理

訪問リハビリと訪問マッサージは、担い手、目的、保険制度、必要書類が異なります。どちらが一律に優れているというものではなく、本人の状態と希望を踏まえ、主治医やケアマネジャー等と検討します。この記事でいう訪問マッサージは、国家資格を持つあん摩マッサージ指圧師が行う施術であり、足プロの日常的なフットケアとは異なります。

訪問リハビリと訪問マッサージの違いとは?

そもそも、訪問リハビリと訪問マッサージは混同されがちです。いずれも自宅等へ訪問する場合がありますが、

  1. サービス提供者
  2. 目的
  3. 適応する保険
  4. 必要な書類

が異なります。

訪問リハビリは、主に介護保険で認定を受けた要支援・要介護者を対象に、身体機能の維持向上、ADL獲得を目的としたリハビリを、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが行います。医療保険に加えて介護保険も適用されるのが特徴です。医師のリハビリテーション指示書、または情報提供書が必要になります。

訪問マッサージは、国家資格を持つあん摩マッサージ指圧師が行います。健康保険の療養費は主として筋麻痺、関節拘縮等を対象とし、請求には医師の同意が必要です。訪問・往療を行う場合は、その必要性についても医師の同意が必要です。

訪問リハビリと訪問マッサージは併用可能?

訪問マッサージと訪問リハビリは併用も可能です。たとえば、パーキンソン病の患者が訪問リハビリで動作訓練を受けつつ、筋肉のこわばりや痛みを緩和するために訪問マッサージを利用することもできます。訪問マッサージと訪問リハビリのどちらを利用すべきかは、本人や家族の意向、目的によって異なります。

日常生活動作の練習や身体機能への支援を希望する場合は、訪問リハビリを含む選択肢を主治医やケアマネジャー等と検討します。

痛みや関節の動かしにくさがある場合は、まず原因を主治医へ相談します。訪問マッサージを選択肢とする場合も、国家資格者と医師の同意内容を確認してください。

「事例」訪問リハと訪問マッサージの使い分け

事例を元に、訪問リハビリと訪問マッサージの使い分けを考えてみます。

事例1 75歳 男性 脳梗塞後遺症 左片麻痺

ADL

屋内は伝い歩き、屋外は杖にて歩行可能。入浴は自宅で可能。その他ADLは自立。

背景

発症から4年が経過しており、片麻痺に対してのリハビリを今まで行い、麻痺は残っているが、自分なりに現在の状態に納得している。

 

日常生活の中で不便な場面は福祉用具などを活用し、それほど不便を感じなくなった。運動は普段から自分でしており、リハビリに対しての意欲は高くなく、どちらかというと筋肉の凝りをケアしてほしい。家族は本人の意向を尊重してほしいと希望している。

結論

医師の同意など制度上の要件を満たす場合には、訪問マッサージを選択肢として検討できます。適否は主治医と国家資格者へ相談してください。

事例2 80歳 女性 パーキンソン病(うつ病を合併)

ADL

屋内外、車椅子で移動。入浴はデイサービス。娘が日中同居し、介護している。

背景

本人はリハビリに対して意欲がないが、家族は介護量が増えると自宅で介護できなくなるため、進行性の疾患であるパーキンソン病の進行をできるだけ抑えたいと考えている。

結論

訪問リハビリを含む支援の適否は、主治医やケアマネジャー等と検討します。訪問リハビリだけで介護量の増大を防げると一律にはいえません。

事例3 90歳 女性 廃用症候群

ADL

廃用症候群により、ほぼ自宅で寝たきり。会話は可能。要介護4。

 

背景

本人はリハビリを希望しているが、以前に訪問リハビリを利用した際に運動療法は拒否され、マッサージのみを行っていた。家族は本人の意向を尊重してほしいとのこと。週4日デイサービスや訪問ヘルパーを利用し、これ以上サービスを導入すると介護保険の限度額を超過する可能性がある。

結論

訪問リハビリと訪問マッサージは、目的も保険制度も異なります。本人が両者を混同している場合は違いを説明し、主治医やケアマネジャー等へ相談したうえで検討します。健康保険の療養費の対象や自己負担は一律ではなく、保険者の判断が必要です。

訪問リハビリと訪問マッサージを選ぶときの確認点

以上の事例からもわかる通り、訪問リハよりも訪問マッサージの方が良い場合があります。

 

まとめると、

  • 本人と家族にリハビリの希望がなく、介護保険の認定を受けていない方
  • 介護保険の限度額いっぱいまですでにサービスを受けている方で、マッサージを希望されている方
  • 以前、訪問リハビリを利用していたが、リハビリに伴う運動や動作トレーニングなどを拒否され、マッサージのみを行っていた方

は、本人だけで判断せず、訪問マッサージの対象となるか主治医とあん摩マッサージ指圧師へ相談してください。

 

訪問リハビリと訪問マッサージは目的と担い手が異なるため、本人が両者を混同している場合は、希望だけで決めず、主治医やケアマネジャー等と必要な支援を整理してください。

 

何より、本人と家族様にリハビリの意欲があるかどうか、また、運動や動作練習を行う意思があるかどうかが訪問マッサージと訪問リハビリを使い分けるポイントになります。また、迷った場合は、医師の意見を参考にすることも重要な使い分けのポイントになるでしょう。

まとめ

訪問リハビリと訪問マッサージの違いは、

  1. サービス提供者
  2. 目的
  3. 適応する保険
  4. 必要な書類

が異なります。

訪問リハビリは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が身体機能の維持向上、ADL獲得を目的としたリハビリを行います。医療保険と介護保険も適用されます。医師のリハビリテーション指示書、または情報提供書が必要になります。

訪問マッサージは国家資格を持つあん摩マッサージ指圧師が行います。健康保険の療養費の対象となるかは、症状、医師の同意、訪問・往療の必要性などの要件を保険者が判断します。

 

訪問リハビリと訪問マッサージを選ぶときは、

  • 本人と家族にリハビリの希望がなく、介護保険の認定を受けていない方
  • 介護保険の限度額いっぱいまでサービスを受けている方で、マッサージを希望されている方
  • 以前、訪問リハビリを利用していたが、リハビリに伴う運動や動作トレーニングなどを拒否され、マッサージのみを行っていた方

になります。本人の意向はもちろん、家族や主治医の意見を参考にしてサービスを選択することも大切です。

参考資料

  • 厚生労働省「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうに係る療養費の概要」https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001683486.pdf(確認日:2026-09-27)
  • 厚生労働省「様式一覧(はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/ryouyouhi_youshiki02.html(確認日:2026-09-27)
  • 厚生労働省「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80138000(確認日:2026-09-27)

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