足に光をあて続けて―日本のフットケアをけん引してきた宮川晴妃先生の物語
人は、足で人生を歩いていきます。
うれしい日も、苦しい日も。家族のために働いた日も、誰かに会うために出かけた日も。足は黙って身体を支え、その人の時間を受け止めてきました。それなのに、靴や靴下に隠れた足は、痛みや不自由が現れるまで見過ごされてしまうことがあります。
その「見えにくい場所」に、長い間、光を当て続けてきた人がいます。宮川晴妃先生です。
爪を切ること。足を洗うこと。硬くなった角質を整えること。一つひとつは小さな手技に見えるかもしれません。しかし宮川先生が伝えてきたフットケアは、単なる作業ではありませんでした。目の前の足から、その人が歩いてきた人生を感じ取り、これからの暮らしを支えようとする営みでした。
まだ「足」が十分に語られていなかった頃
日本でフットケアという言葉が今ほど身近ではなかった頃から、宮川先生は足に向き合い、技術を磨き、人に伝えることを続けてきました。
爪の状態は一人ひとり違います。皮膚の様子も、痛みの感じ方も、触れられることへの不安も違います。教科書どおりの手順だけでは、目の前の一人に届かないことがある。だからこそ、まずよく見る。声を聞く。急がず、丁寧に触れる。そして安全に整える。
宮川先生の実技指導には、いつも「なぜ、そうするのか」がありました。道具の持ち方を教えるときも、爪の切り方を示すときも、その先にいる人の姿を忘れない。技術と心を切り離さない姿勢が、学ぶ人たちの手へ少しずつ受け継がれていきました。

講習会には、これからフットケアを始めようとする人も、すでに現場で悩みを抱えている人も集まりました。宮川先生は、できたかどうかだけを見るのではなく、その人の手元に目を配り、迷いの理由を探し、一つずつ言葉にして伝えていきます。
そうして一人の学びが、次の一人のケアへつながる。教わった手が高齢者や家族、地域の人の足に触れ、そこで生まれた安心がまた誰かへ伝わっていく。日本のフットケアをけん引してきた宮川先生の歩みは、派手な一歩ではなく、人と人の間に積み重ねられた無数の小さな一歩でした。
手技の奥にあるもの
足に触れるとき、施術する側には技術が必要です。しかし、技術だけでは人の心は開きません。足を見せることにためらいがある方、痛みを言葉にできない方、長い間自分の足を諦めてきた方もいます。
宮川先生が大切にしてきたのは、足だけを切り離して見ないことでした。「この方は、どんな毎日を過ごしているのだろう」「この足で、どこへ行きたいのだろう」。そんな想像力を持って触れると、同じ手技でも手の温度が変わります。

爪を整える前の観察。足を支える手の位置。道具を当てる角度。相手が緊張していないかを確かめる声かけ。ほんのわずかな間の取り方。そのどれもが、相手を大切にするための技術です。
「心をつなぐフットケアの技術」。宮川先生が講演で語ってきたこの考え方は、フットケアを仕事にする人だけのものではありません。家族の足を守りたい人、介護や看護の現場にいる人、地域で人の暮らしを支える人にも通じる、人への向き合い方そのものです。
2020年春、「本質を残さなければならない」
2020年3月。新型コロナウイルスの影響が広がり、人と人が集まる講習会の先行きが見えなくなりました。直接会い、同じ場所で手元を見ながら学ぶことが、いつまで続けられるのか分からない。長い時間をかけて培われた技術と心が、伝える機会とともに途切れてしまうかもしれない。そんな不安が社会を覆っていました。
そのとき生まれたのが、「今こそ、本質を残さなければならない」という思いでした。
残したかったのは、爪切りの手順だけではありません。人に向き合う姿勢、触れることの意味、足から暮らしを見る眼差し。宮川先生が歩みの中で育ててきたフットケアのすべてを、次の世代が繰り返し見て学べる形にしたい。こうしてDVDづくりが動き始めました。
映像にする作業は、施術を撮影して終わりではありませんでした。初めて見る人にも学びの流れが伝わる順序を考え、手元だけでなく姿勢や目線、相手との距離まで映す。宮川先生を中心に、関係する協会、撮影・編集、ナレーションなど、多くの人の力が重なりました。講習、実技、講演という三つの角度から、技術と心を残すための時間が積み重ねられていきました。

3枚の映像に託された、学びの道
DISC 1「基礎・実技講習編」では、実技講習会や実技セミナーを通して、フットケアの土台と心得をたどります。技術を始める前に何を見つめるのか。なぜ足に向き合うのか。その入口に立つ1枚です。
DISC 2「実践・実技手順編」では、足洗い、拭き取り、消毒、ゾンデによる角質除去、爪切り、やすり、グラインダー、ショートトリートメントまでを実際の流れに沿って収録。巻き爪や割れ爪など、変形爪に向き合う場面も含まれています。手の動きだけでなく、工程の前後に何を確かめるのかにも注目していただきたい内容です。
DISC 3「記念講演編」には、「心をつなぐフットケアの技術」を収録しました。技術を何のために使うのか。足に触れることが、なぜ人の尊厳や暮らしにつながるのか。実践を支える原点へ戻るための1枚です。

見る人の今に寄り添い、何度でも語りかける
これから始めたい方が見れば、フットケアの全体像と目指す姿が見えてきます。最初から手技をまねるのではなく、宮川先生が人と足をどのような眼差しで見ているかを知ることが、学びの軸になります。
今、勉強中の方が見れば、講習では見逃した手の位置や姿勢、道具の角度を繰り返し確かめられます。一度目は手順、二度目は観察、三度目は声かけというように、見る目的を変えるたび、新しい気づきが生まれます。
すでに実践している方が見れば、慣れの中で見えにくくなった基本へ戻ることができます。いつもの工程を終えることが目的になっていないか。相手の反応を十分に受け止めているか。スタッフ同士で同じ映像を見て語り合えば、チームで大切にしたい基準を確かめる時間にもなります。
もちろん、DVDだけで安全な実技や医療的な判断を習得できるわけではありません。判断に迷う足の状態は、講師や医療の専門職へ相談することが必要です。そのうえで映像は、実技指導の前後に何度でも立ち返ることのできる、変わらない学びの場になります。
一人の歩みから、次の一歩へ
宮川先生が見つめ続けてきたのは、足だけではありません。その足で生きる人でした。
見過ごされやすかった足に目を向け、技術を磨き、学ぶ人を育て、人を思う心とともにフットケアを伝えてきた。その歩みがあったからこそ、今、私たちはフットケアの未来について語ることができます。
一本の映像を再生すると、宮川先生の声が聞こえ、手の動きがよみがえります。そして映像を見た人が、目の前の一人へ丁寧に向き合う。その手から、また次の人へ心がつながっていく。
このDVD3枚組は、技術の記録であると同時に、日本のフットケアをけん引してきた一人の先生から、未来へ手渡されるバトンです。これから始める方にも、学びの途中にいる方にも、すでに多くの足に触れてきた方にも。そのバトンを受け取る一本となることを願っています。
宮川晴妃 フットケアDVD3枚組【数量限定】
一般価格:55,000円(税込)
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