着圧ソックスは寝るときも履いていい?サイズ・折り返し・中止サインを公式資料で確認
「むくみが気になるから、着圧ソックスを履いたまま眠ったほうがよいのでは」と考える方は少なくありません。しかし、最初に確認したい結論は、就寝中に使えるかどうかは、商品ごとの使用目的と添付文書・取扱説明書、医師等から受けた指示によって異なるということです。昼用の製品を自己判断で一晩中着用したり、苦しい部分を折り返したりするのは避けてください。
この記事で扱うのは、着用前後に自分で行える観察、サイズ確認、洗濯や保管などの日常ケアです。足の腫れの原因を判断すること、病気の診断、圧迫圧の決定、治療目的の使用指示は医療の範囲です。片脚だけの急な腫れ、強い痛み、息苦しさなどがあるときは、着圧ソックスで様子を見ず、医療機関へ相談してください。
※写真は日常の足元確認を示すイメージです。一般の靴下の写真も含まれ、写っている製品を着圧ソックスとして推奨するものではありません。
1.結論:寝るときに履けるかは製品と指示で決まる
着圧ソックスについて、「寝るときは必ず脱ぐ」「夜用なら誰でも朝まで履ける」と一律に言い切ることはできません。市販の日常用製品、医療機器として扱われる弾性ストッキング、手術後などに医療機関で使われる製品では、目的、圧迫の強さ、着用時間、注意事項が違うからです。
PMDA(医薬品医療機器総合機構)で公開されている、ある弾性ストッキングの添付文書には、医師が必要と認める場合を除き、就寝時は着用しない旨が記載されています。横になることで静脈還流などが変化し、人によっては必要以上の圧迫になるおそれが理由として示されています。一方、術後など特定の状態で医療者から昼夜の着用を指示される製品・場面もあります。したがって、他人の体験談や「着圧」という名称だけで判断せず、自分が持っている製品の表示と、自分に出された指示を確認することが最優先です。
「昨夜履いて平気だった」ことも、次の夜の安全を保証しません。足の周径、皮膚の状態、活動量は日によって変わります。表示が読めない、譲り受けて説明書がない、目的が分からない場合は、就寝中の使用を始めず、販売元、薬剤師、医師、看護師などに確認しましょう。
2.「着圧ソックス」はすべて同じではない
検索すると、着圧ソックス、弾性ストッキング、サポートソックス、夜用ソックスなど多くの名称が出てきます。見た目が似ていても同じものとは限りません。確認したいのは呼び名よりも、次の情報です。
- 製品の使用目的
- 医療機器に該当するか
- 圧迫圧の表示と、その測定部位
- 昼用・就寝用など着用時間の指定
- 使用してはいけない人、慎重な確認が必要な人
- 異常が出た場合の対応
- サイズを決めるために測る部位
医療用の弾性ストッキングは、適切な圧迫を段階的に加える目的で用いられます。日本静脈学会の「静脈疾患における圧迫療法ガイドライン2025」でも、足首などを測定してサイズと圧迫圧を選び、合った製品を使うことが示されています。見た目や身長だけで選ぶものではありません。
市販品であっても、強いほうがよいとは限りません。複数枚を重ねれば単純に「効果が高まる」と考えるのも危険です。PMDAの添付文書には、他の圧迫療法との併用や重ね履きによって圧迫が強まり、しわやずれが起こる可能性への注意もあります。
3.まず添付文書・取扱説明書の3か所を読む

開封前または初回使用前に、最低でも次の3項目を探してください。
①着用時間
「日中」「就寝時」「○時間を目安」「医師の指示に従う」などの記載を確認します。「夜用」という表示があっても、使用できない人や使用時間の制限が別に書かれている場合があります。
②使用上の注意
血行障害、心臓の病気、神経障害、糖尿病、皮膚の炎症、傷などに関する注意がないかを読みます。ここは自己判断で飛ばさない箇所です。該当する病気がある、治療中である、判断できない場合は、主治医等に製品名を伝えて確認します。
③中止サイン
痛み、しびれ、皮膚や爪の色の変化、皮膚温の低下、かゆみ、発疹など、使用をやめる目安を確認します。説明書は使用中も見返せるよう保管し、家族が着脱を手伝う場合は家族とも共有しましょう。
ネット通販の商品ページだけで判断せず、届いた現品の表示を読むことが大切です。製品の仕様や注意事項が改訂されることもあります。
4.サイズは足首など指定された部位を測って選ぶ

サイズ表に「M」とあっても、衣類のMサイズとは選び方が違う場合があります。弾性ストッキングでは足首、ふくらはぎ、太もも、脚の長さなど、製品が指定する部位を測ります。測定位置が数センチずれるだけでも、選ぶサイズが変わることがあります。
測るときは、製品の説明書にある図に従い、メジャーを食い込ませず、斜めにしないようにします。左右差がある場合は両脚を測り、どちらの脚に使う製品なのかも確認します。むくみの程度は時間帯で変わるため、「いつ測るか」の指定がある製品ではその指示に従います。
次のような場合は、自己流でサイズを決めず相談を優先してください。
- サイズ表の範囲外だった
- 足首とふくらはぎで該当サイズが一致しない
- 左右差が大きい
- 以前より脚の太さが変わった
- 皮膚が弱い、傷がある、感覚が鈍い
- 自分で正しい位置まで上げられない
PMDAの添付文書では、周径が変わったときは適切なサイズへの変更が必要とされています。「以前買った同じサイズ」を長く使い続けるのではなく、体の変化と製品の状態を定期的に見直します。
5.折り返し・しわ・ずれを放置しない

長すぎるからと上端を折り返す、下がってきた部分を輪状に丸める、かかとの位置が合わないまま引き上げる――こうした着用は避けます。一部だけに圧が集中し、皮膚や神経、血流に負担をかけるおそれがあるためです。
PMDAの添付文書には、折り返して使用しないこと、たるみやしわが出ないように装着すること、ずれや誤った位置があれば着け直すことが明記されています。履き口の跡が強く残る、布が足首にたまる、縫い目やつま先がねじれる場合は、「慣れれば大丈夫」と続けないでください。
装着時は爪を立てて一気に引っ張らず、製品の手順に沿って少しずつ生地を均等に広げます。リング、長い爪、鋭い物との接触は生地を傷める可能性があります。装着補助具が指定されている場合は、説明を受けて正しく使用します。
6.着用前後に皮膚、爪、感覚を観察する

着用の安全は、履き方だけでなく観察とセットです。明るい場所で左右を比べ、次を確認します。
着用前
- 傷、皮むけ、水疱、強い乾燥、ただれがないか
- 赤み、腫れ、熱っぽさがないか
- 爪や指先の色がいつもと違わないか
- 触れた感覚が普段どおりか
- 左右差や急な変化がないか
着用中・脱いだ後
- 新しい痛み、しびれ、違和感がないか
- 指先が冷たくないか、色が白っぽい・青紫色ではないか
- 強い線状の跡、赤み、水疱、かゆみがないか
- 一部に布が食い込んでいないか
- 腫れが製品の上端や足先に集中していないか
自分で足裏を見にくい場合は、無理な姿勢を取らず、鏡を使うか家族に確認を頼みます。感覚が鈍いと、圧迫による異常に気づきにくいことがあります。就寝中はなおさら自覚しにくいため、使用可否を事前に確認することが重要です。
7.すぐに使用を中止するサイン

次の変化が着用中に現れたら、いったん使用を中止し、製品の説明書に従って医療機関などへ相談します。
- 痛み、強い圧迫感、しびれ
- 足先や爪が白い、青紫色になる
- 皮膚が冷たく感じる
- 急に腫れが強くなる
- 赤み、水疱、発疹、かぶれ、皮膚の傷
- 着用前にはなかった不快感や感覚の変化
とくに、急な息苦しさ・呼吸困難、圧迫されるような胸の痛み、意識の変化がある場合は、着圧ソックスの調整だけで様子を見ず、迷わず119番通報を検討してください。片脚だけの急な腫れや痛みがある場合も、通常のフットケアで経過を見ず、早急に医療機関へ相談します。
皮膚に跡がついたときも、跡の深さ、消えるまでの時間、痛みや色の変化の有無を確認します。「着圧だから跡がついて当然」と決めつけないことが大切です。
8.自己判断を避け、先に医療機関へ確認したい人

PMDAの添付文書では、動脈の血行障害、心不全、下肢の炎症・化膿・急な傷、神経障害、糖尿病などについて、禁忌や慎重な適用が示されています。ただし、ここに病名があるから全員が同じ対応になるという意味ではありません。状態や製品によって判断が異なるため、該当する方は使用前に主治医等へ確認します。
また、妊娠中、術後、治療中、薬の変更後、むくみの原因が分からない場合も、まず相談してください。受診時には、製品名、圧迫圧、サイズ、着用時間、症状が出た時刻、左右差を伝えると状況を共有しやすくなります。
足プロ店舗で行うのは、足と爪の状態の観察、日常的な清潔・保湿や履物についての情報提供など、ケアの範囲です。病気の有無の判断や圧迫療法の適否、医療機器の処方・装着指示は行いません。気になる変化がある場合は、医療機関への相談を優先します。
9.毎日の洗濯・乾燥・交換で性能を守る
汗や皮脂がついたまま使い続けると、皮膚トラブルだけでなく繊維の劣化にもつながります。ただし、洗い方は製品によって異なります。洗濯機の可否、水温、洗剤、漂白剤や柔軟剤の使用、乾燥方法を説明書で確認してください。
高温、多湿、直射日光、乾燥機などが不適切とされる製品もあります。見た目に穴がなくても、伸び、薄れ、ずれ落ち、圧迫感の変化があれば、性能が保たれているか販売元や医療者に確認します。勝手に切る、縫う、ゴムを足すといった加工は避けます。
日常の流れを「朝に皮膚確認→正しく装着→日中も違和感を確認→指示された時刻に外す→皮膚確認→説明書どおりに洗う」と決めると、異常の見落としを減らしやすくなります。
10.よくある質問
Q1.弱い着圧なら、寝るときも大丈夫ですか?
圧迫圧の数字だけでは判断できません。製品の目的、設計、健康状態、着用時間が関係します。まず現品の取扱説明書で就寝時使用の可否を確認し、不明なら使用せず専門職へ相談してください。
Q2.苦しいので上端を一度折ってもよいですか?
折り返しは一部に圧を集中させるおそれがあります。折らずに正しい位置へ着け直し、それでも合わない場合はサイズや製品の見直しを相談します。
Q3.2枚重ねれば、むくみによく効きますか?
重ね履きは圧迫を強くし、しわやずれの原因になる可能性があります。自己判断では行わず、必要性と組み合わせを医師等に確認してください。
Q4.朝、履き口の跡がついていました。使い続けてよいですか?
痛み、しびれ、色や温度の変化、皮膚障害の有無を確認します。異常があれば中止し、説明書に沿って相談してください。跡だけでも繰り返す、深い、消えにくい場合は、サイズと装着方法を見直します。
Q5.高齢の家族に履かせてもよいですか?
本人が異常を伝えにくい、感覚が鈍い、自分で外せない場合はとくに慎重な確認が必要です。使用前に主治医等へ相談し、介助者も正しい着脱と観察方法の説明を受けてください。
11.まとめ:迷ったら「一晩履く」より先に確認を
着圧ソックスは、長く履けばよい、強ければよいという製品ではありません。就寝中に使えるかは、製品の表示と医療者の指示で確認します。サイズを測り、折り返しやしわを作らず、皮膚・爪・感覚の変化を毎回観察することが基本です。
痛み、しびれ、冷たさ、皮膚や爪の色の変化、発赤や水疱などが出たら使用を中止します。むくみの原因が分からない、病気や治療との関係が心配な場合は医療機関へ。足プロ店舗では、診断や治療ではなく、足の状態を日常的に確認しやすくするケアや、必要時の医療相談につなぐための情報整理をお手伝いします。
「着圧ソックスの跡が気になる」「自分で足を観察しにくい」といった日常の足元の相談は、足プロ店舗の予約はこちらからお問い合わせください。症状が急である、強い痛みや息苦しさがある場合は、店舗ではなく医療機関を優先してください。
参考資料(確認日:2026-10-01)
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「弾性ストッキング添付文書(販売名:ジャクスタライト)」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiDetail/ResultDataSetPDF/510340_27B1X00123CAMP02_A_01_02 - 日本静脈学会「静脈疾患における圧迫療法ガイドライン2025」
https://js-phlebology.jp/wp/wp-content/uploads/2025/08/compressionguidelines2025-v2.pdf - 日本静脈学会「静脈疾患における圧迫療法ガイドライン2025 公開案内」
https://js-phlebology.jp/?p=7658 - 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」
https://kakarikata.mhlw.go.jp/kakaritsuke/urgency.html
※本記事は一般的な情報提供です。個別の診断、治療、医療機器の選定・装着指示を行うものではありません。
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※足プロのケア・講座は、病気の診断や治療を行う医療行為ではありません。強い痛み、急な腫れ、出血、化膿、発熱などがある場合や、糖尿病・血流障害などで通院中の方は、自己判断せず医療機関へご相談ください。


