看護・介護の足爪切り、始める前に何を見る?観察・手順・中止・記録を7段階で整理
看護・介護の現場で足爪を切るとき、最初の手順は爪切りを持つことではありません。本人の希望と体調を確認し、爪と周囲皮膚を観察して「今日、実施してよい状態か」を判断できる人へつなぐことが先です。
厚生労働省は、爪そのものに異常がなく、爪の周囲にも化膿や炎症がない場合の爪切り・やすりがけを、原則として医行為ではない行為の例として示しています。反対に、爪や周囲に異常がある場合まで同じ手順で行ってよいという意味ではありません。
目次
- 厚生労働省通知の条件
- 手順1:本人確認と同意
- 手順2:全身状態と既往歴
- 手順3:爪と周囲皮膚の観察
- 手順4:実施・中止を判断
- 手順5:器具と姿勢の準備
- 手順6:少しずつ切り、やすりで整える
- 手順7:終了後の確認・記録・報告
- よくある質問
- まとめ
1.厚生労働省通知の条件
平成17年の厚生労働省通知は、「爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がない場合」に爪切りで切ること、爪やすりで整えることを、原則として医行為ではない行為の例に挙げています。また、業として行う場合は研修や訓練が望ましく、管理者による安全管理が求められるとしています。
さらに、厚生労働省のガイドラインは、利用者の状態が日々変化するため、専門的管理が必要かを医師・歯科医師・看護職員へ確認し、急変時は速やかに連絡する必要があるとしています。通知だけを見て「介護職なら誰でも、どんな爪でも切れる」と解釈してはいけません。

2.手順1:本人確認と同意
本人へ、足と爪の状態を確認し、必要なら爪を整えることを説明します。拒否、痛み、認知症による不安がある場合は、押さえつけて実施しません。本人の意思を確認し、落ち着ける時間や担当者へ変更します。
左右と本人を取り違えないよう、記録と口頭で確認します。本人が希望していても、安全条件を満たさない場合は実施せず、理由と次の相談先を説明します。

3.手順2:全身状態と既往歴
発熱、強いだるさ、息切れ、血圧や血糖の大きな変動など、普段と違う全身状態があれば見合わせます。糖尿病、透析、血流障害、抗凝固薬・抗血小板薬の使用、足の感覚低下、過去の足潰瘍や切断歴などは、事前に記録と医療職の指示を確認します。
本人の申告だけに頼らず、ケア計画、看護記録、主治医の指示を照合します。不明点があれば病院に相談・確認のうえケアを行います。

4.手順3:爪と周囲皮膚の観察
明るい場所で両足を比べ、次を確認します。
- 爪の色、厚さ、形、もろさ
- 爪が皮膚へ食い込んでいないか
- 爪まわりの赤み、腫れ、熱感、膿
- 傷、出血、水疱、ひび割れ
- 指の間の白いふやけ、皮むけ
- 触れたときの痛み、感覚の左右差
- 足背やすねのむくみ、皮膚色の変化
白く濁った厚い爪、黒い変色、爪の浮き、巻き込み、痛み、炎症がある場合は、通常の爪切りを進めません。

5.手順4:実施・中止を判断する
実施者が迷う状態は「切ってみる」のではなく中止します。判断基準を個人の経験だけにせず、事業所の手順書と医療職の指示に合わせます。
中止して相談する主な変化は、赤み、腫れ、熱感、膿、出血、傷、強い痛み、爪の著しい肥厚・変色・変形、巻き込み、感覚低下、急なむくみなどです。緊急性が疑われる場合は決められた連絡手順に従います。
6.手順5:器具と姿勢の準備
実施可能と確認できたら、手指衛生を行い、施設の手順に沿って洗浄・消毒・保管された器具を準備します。利用者ごとの器具区分、使い捨て物品、廃棄方法も確認します。
本人と実施者の双方が安定する姿勢を取り、足元を明るくします。爪を切るために無理に足を持ち上げたり、実施者が前かがみを続けたりしないよう、椅子と足台の高さを調整します。

7.手順6:少しずつ切り、やすりで整える
爪の角を深く落とし込まず、皮膚との境目を確認しながら少しずつ切ります。短くし過ぎず、爪先の白い部分を残し、鋭い角や引っかかりをやすりで一方向に整えます。すべての爪を同じ形へそろえることより、皮膚を傷つけないことを優先します。
途中で本人が痛みを訴えた、出血した、爪が割れた、実施者が境目を見失った場合は直ちに中止します。出血時は事業所の事故・報告手順に従い、自己判断で続行しません。

8.手順7:終了後の確認・記録・報告
切った後は、出血、赤み、痛み、鋭い角、靴下への引っかかりがないか確認します。器具を手順どおりに処理し、手指衛生を行います。
記録には、日時、実施者、本人の同意、実施前の爪・皮膚状態、実施した爪、使用器具、途中の訴え、終了後の状態、中止理由、医療職への報告内容を残します。「爪切り実施」の一行だけでは、次回の安全判断に必要な情報が不足します。
9.よくある質問
Q1.介護職は足爪を切れますか?
厚生労働省通知では、爪そのものに異常がなく、周囲皮膚にも化膿や炎症がない場合の爪切り・やすりがけが、原則として医行為ではない行為の例です。実際には利用者の状態、事業所手順、研修、医療職との連携を確認します。
Q2.厚い爪も少しずつなら切れますか?
肥厚や変色は爪の異常に当たる可能性があります。通常の爪切りを進めず、看護師・医師へ相談します。
Q3.本人が希望すれば短く切ってよいですか?
本人の希望は大切ですが、深爪は皮膚損傷や食い込みにつながることがあります。安全な長さと形を説明し、切り過ぎません。
10.まとめ
看護・介護の足爪切りは、説明と同意、全身状態、爪と皮膚、実施可否、器具と姿勢、少しずつ切る操作、終了後の記録という7段階で考えます。異常がある爪や周囲皮膚へ自己判断で進めず、病院に相談・確認のうえケアを行ってください。
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公式出典
すべて確認日:2026-10-12。
- 厚生労働省「原則として医行為ではない行為について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/gensoku_ikoui.html
- 厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(その2)」 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc7179&dataType=1&pageNo=1
- 厚生労働省「医政発第0726005号(平成17年7月26日)」 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/05/dl/s0512-3a2.pdf
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