理学療法士が解説!冬の足トラブル(冷え・しもやけ)を防ぐフットケア

冬になると、かかとのガサガサやひび割れ、足先の冷えやしもやけで悩む人が多くなります。 冬は乾燥と足の血行不良が重なりやすい季節のため、足にとっては一年で最も負担がかかりやすい時期です。この記事では、理学療法士の視点から「冷え・しもやけ」をまとめてケアする方法を解説し、将来の歩きやすさまで見据えたフットケアのポイントを紹介します。
冬に足のトラブルが増える理由
冬に足トラブルが増える主な理由には以下のようなものがあります。
乾燥でかかとの角質が硬くなる
冬は湿度が低く、暖房による乾燥も重なり、皮膚の水分が奪われやすくなります。 特にかかとや足裏は皮脂腺が少なく、かなり乾燥しやすい部位のため、角質が硬くなりやすいのが特徴です。角質は本来、体重や摩擦から足を守るためにありますが、乾燥して柔軟性が低下するとひび割れの原因になります。
冷えと血行不良で回復力が低下する
寒さで血管が収縮し狭まると足先の血流が良くなり、皮膚の修復に必要な酸素や栄養が届かなくなります。 その結果、小さなひびや摩擦が治りにくく、しもやけなどのトラブルも起きやすくなります。長時間の座りっぱなしや運動不足も血流悪化を招き、冷えやむくみを助けます。
かかとのガサガサ・ひび割れを防ぐ基本ケア

踵のひび割れを防ぐ基本的なケア方法は以下になります。
削る前に「温めて」柔らかくしておく
硬くなったかかとを、いきなり強く削るのはおすすめできません。まずは、ぬるめのお湯で10〜15分ほど足を温め、皮膚を柔らかくしてからケアをしましょう。入浴時に行うと負担が少なく、続けやすいです。
角質ケアは「少しずつ・2週間に1回程度」
足が温まったら、やすりなどで硬くなった部分だけを優しく削ります。 毎日のように減らす必要はなく、目安は2週間に1回程度で十分です。念入りに擦ってしまうと逆に体が角質を厚くしようと反応して逆効果になりかねないので、表面を軽く撫でる程度で十分です。
保湿は「入浴後+就寝前」
かかとは乾燥しやすいため、保湿のタイミングが重要です。 入浴後、タオルで水分を軽く抑えたら、30分以内を目安に保湿クリームを塗りましょう。クリームは、かかと用や尿素を配合した商品など、角質ケア向けのクリームを選ぶと効果的です。深いひび割れには、ワセリンなどで保護してから綿の靴下を履くと保湿効果が長期間続きます。
足元を冷やさない
つま先を締め付けるつま先の細い靴やヒールは避け、防水性・保温性の高い靴を選びます。 濡れた靴下はNGです。汗をかいたら履きかえ、厚手で吸湿性・放湿性に優れた素材(ウールやシルクなど)の靴下を選び、締め付けが強くない程度の重ね履きも保温効果が高いです。室内ではルームシューズやボアソックス、つま先が開く2wayソックスなどで足元を暖かく保つと効果的です。
足の冷え・しもやけ対策としておすすめの運動
足先の冷えやしもやけは、末梢器官への血流が十分に届いていないサインでもあります。そこで大切なのが、「温める」ことだけではなく、「自分で動かして血流を良くする」ことです。足の冷えを根本的に解決するためには、運動の習慣化が非常に効果的です。以下におすすめの運動をご紹介します。
①足首回し+指間マッサージ
椅子などに座り、足首を手で支え、内外へ回す動作を10回ずつ。次に親指で足指の間を優しく押します。
②椅子スクワット
椅子の端に座り、膝を曲げてお尻を少し浮かす(5秒キープ×5回)。 足の大きな筋肉を動かすことで全身に血流促進効果があります。※膝の痛みがある場合は行わないでください。
③背伸び運動
ふくらはぎは血液を心臓へ押し戻すポンプの役割を持つため、ここを動かすと足先までの血流が改善します。
- 転倒予防のため、壁や椅子の背に手を添えて立ち、足を肩幅に開きます。
- かかとをゆっくり上げて立ち、2〜3秒キープ。
- ゆっくりかかとを下ろす。
- 5回を1セットとして、1日2〜3セットを目安に。
④足指グーパー&タオルギャザー(座位)
足指をしっかり動かすことで、足の筋肉と血流が活性化します。
- 椅子に座り、床にタオルを敷く。
- 足指でタオルをたぐり寄せるように掴んで離す動作を繰り返します。
- 片足5〜10回を目安に行います。
同時に、足指で「グー(丸める)」「パー(指を広げる)」を行い、冷え対策だけでなく転倒予防にも効果的な足指の力を鍛えることができます。
冬のフットケアで避けたいNG習慣

以下の行為は逆効果になることがあるので、できるだけ行わないようにしましょう。
角質を毎日削る
ガサガサが気になるからといって、毎日のように角質をやすりで削ってしまうと防御機能として角質が逆に厚くなり、悪循環になることがあります。
熱いお湯で長風呂をする
熱すぎるお湯は、一時的には温くて気持ちが良いですが、皮脂を洗い流す効果が高く、乾燥を悪化させる原因になります。42℃は暑すぎるので、40℃程度がおすすめです。
きつい靴下や着圧ソックスを長時間使用する
冷え対策として着圧ソックスや靴下の重ね履きをしている場合、締め付けが強すぎると逆に血流を阻害してしまいます。 日中はややゆったりめにしておく、就寝時用は専用のものを選ぶなど、目的に合ったアイテムを活用しましょう。
専門家に相談した方が良いケース
次のような場合は自身でセルフケアを行うのではなく、お早めに医療機関などの専門家にご相談ください。
- かかとのひび割れが深く、出血や強い痛みがある。
- しもやけが何度も再発し、皮膚がただれてきている。
- 歩くたびに足首や足指が強く痛み、日常生活に支障が出ている。
- 糖尿病など、足の傷が治りにくい基礎疾患がある。
巻き爪や角質の過度の肥厚などは、医療機関やフットケア専門家による処置が必要な場合もあります。 早めに相談することで、将来の歩きにくさや転倒のリスクを軽減することができます。
まとめ
冬は寒さや活動量の減少による血行不良が起こりやすく、足先のトラブルが増えやすい時期です。足のケアとしては、角質を削る前に温めておくことでより手軽にケアすることができます。また、フットケアだけではなく、足やふくらはぎの筋肉を使う運動を習慣化しておくことで根本的な血流の低下を防ぎ、健康的な足先の皮膚の状態を保つことができます。
おすすめの運動としては、椅子を使ったスクワットや、立って背伸びをする運動、タオルを使った足指の運動「タオルギャザー」などがあります。
冬の足トラブルは「見た目が気になる」だけではなく、「痛くて歩きたくない」「外出がおっくうになる」といった行動に制限がかかることも多いです。 活動量が大きく低下すると、比例して筋力やバランス能力が低下し、転倒や要介護のリスクにも直結します。そうならないために、
- かかとの乾燥・ひび割れを早めにケアすること
- 足の血流を良くする簡単な運動を習慣化すること
- 靴や靴下の見直しを行うこと
この3つを継続していくことが「将来も自分の足で歩き続ける」ための大切な「未来への投資」になります。ぜひ参考にしてみてください。

