【講演会報告・パート2】高山かおる先生に学ぶ、今日から始めるフットケア5つの習慣

2026年1月25日、盛岡市のキオクシアアイーナ(いわて県民情報交流センター)で開催した講演会「いきいき長生きの秘けつは“足の健康”―健康寿命をのばすフレイル予防&フットケア―」。済生会川口総合病院皮膚科主任部長・高山かおる先生の講演会報告を、2回に分けてお届けしています。

【講演会報告・パート1】高山かおる先生が伝えた「足の健康」では、足と爪が歩行や身体のバランスを支えること、痛みや変形を「年齢のせい」で終わらせず、原因を考えることの大切さをご紹介しました。

パート2では、高山先生のお話から、毎日の暮らしで実践できるフットケアを5つの習慣にまとめます。

フットケアは、特別な技術だけではない

フットケアと聞くと、専門的な器具や難しい施術を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、足を見て、洗って、触れて、保湿することも大切なフットケアです。

足は毎日、全身の体重を支えています。それにもかかわらず、靴下を脱いで足をよく見る時間は意外に少ないものです。

高山先生は、足のために一日の中のわずかな時間を使うことの大切さを、ユーモアを交えて伝えてくださいました。小さな習慣でも、続けることで足の変化へ早く気づき、必要なケアや治療につなげやすくなります。

足を守る5つの習慣

1.毎日、足を見て丁寧に洗う

まず取り組みたいのが、足を毎日きちんと洗うことです。足裏だけでなく、足指の間と爪の周りまで意識します。

足白癬から爪白癬への進行を示すスライドで説明する高山かおる先生
足白癬から爪白癬への進行と、日々の観察・早めの相談の大切さを説明する高山先生

爪の周囲には古い角質や汚れがたまりやすく、それが皮膚トラブルへつながる場合があります。強くこすらず、指や柔らかいブラシなどでやさしく洗います。講演では、足指の間など一か所につき15秒ほど洗うことが目安として紹介されました。

洗うときは、皮むけ、赤み、傷、水疱、腫れ、たこ、爪の変色などがないかも観察します。左右の足を見比べると、片側だけに起きている変化にも気づきやすくなります。

見えにくい場合は、鏡を使う、ご家族に確認してもらうなど、安全な方法を選びましょう。

2.水分を拭き取り、乾燥する部分を保湿する

洗った後は、清潔なタオルで水分をやさしく拭き取ります。特に足指の間に水分が残らないよう注意します。

乾燥しやすい足裏やかかと、爪の周囲には保湿剤をなじませます。爪も皮膚の一部です。乾燥を防ぎ、足へ手を当ててやさしく触れることが「手当て」になります。

保湿剤を塗るときは、傷や赤み、熱っぽさ、痛みなどがないかも確かめられます。毎日触れるからこそ、いつもとの違いを見つけやすくなります。

3.足の爪は、深く切りすぎない

足の爪は、指先とほぼ同じ長さを目安に、先端を四角く整え、角だけを少し丸める「スクエアオフ」が基本です。

手の爪と同じ感覚で白い部分をすべて切ろうとすると、足では深爪になることがあります。深く切った爪の角が皮膚へ食い込み、痛みや炎症につながる場合もあります。

一度に大きく切らず、爪の端から数回に分け、見える範囲で少しずつ切ります。暗い場所や、爪の角が見えない状態で無理に切り込まないことが大切です。

爪が厚い、変形している、見えにくい、手が届かない、手に力が入りにくい、切ると痛いときは、自分だけで無理をしないでください。皮膚科などの医療機関や、安全な爪ケアを行える専門職へ相談しましょう。

4.靴に足を合わせず、足に合う靴を選ぶ

靴選びでは、かかとが安定し、靴ひもやベルトで足に固定でき、つま先に余裕があることが大切です。

かかとが脱げる靴や、足が靴の中で前後左右に動く靴は、足の一部へ繰り返し力が加わる原因になります。反対に、小さすぎる靴やつま先が狭い靴も、爪や足指を圧迫します。

サイズ表記はメーカーによって違いがあります。数字だけで決めず、実際に試し履きをして、足の長さ、幅、指の形に合うかを確かめます。履いたら靴ひもやベルトをその都度締め、かかとを安定させます。

外反母趾、たこ、痛みなどがある場合は、取り外せる中敷きを調整する方法もあります。必要に応じて、靴や足の専門家へ相談してください。

5.座り続けず、無理なく立つ・歩く

足指と爪の働きを保つには、足を使うことも必要です。運動の時間を特別に設けることが難しくても、長時間座り続けず、こまめに立つことから始められます。

家の中で立って行う用事を増やす、短い距離を歩く、体調に合わせて階段を使うなど、日常の中で身体を動かす機会をつくります。雪道や体調不良時など、歩く方が危険な状況では無理をせず、安全を優先します。

転倒予防には住環境も大切です。床に物を置かない、階段や段差を見やすくする、夜間に照明をつける、脱げやすいスリッパを避けるなど、足元の危険を減らします。

5本指ソックスは、靴との組み合わせも確認

質疑応答では、5本指ソックスについて質問がありました。

高山先生は、足指を使いやすくする選択肢の一つとしながらも、指の間に布が入る分、靴がきつくなる場合があることを説明されました。5本指ソックスを履くときは、その厚みに合う靴を選び、足指や爪が圧迫されていないかを確認することが大切です。

「5本指であれば必ずよい」と決めるのではなく、靴下と靴を組み合わせた状態で、自分の足に合っているかを見ます。

自分でできないときは、助けを求めてよい

高齢になると、視力、柔軟性、握力などの変化により、自分の足が見えにくい、爪切りが届かないということがあります。それは、本人の意欲だけで解決できる問題ではありません。

ご家族や介護・福祉に関わる方が足に目を向け、必要に応じて医療機関やフットケアの専門職につなぐことが、歩く力と生活を守る一歩になります。

足や爪の痛み、腫れ、出血、強い変色、急な変形などがある場合、また糖尿病や血流の病気などで足の傷に注意が必要な方は、自己判断で処置せず医療機関へご相談ください。

毎日のわずかな時間を、自分の足のために

顔や手に比べて、足の手入れは後回しになりがちです。しかし、足を洗う、見る、触れる、保湿する、爪を適切に整える、合う靴を履くという日々の行動は、自分らしい生活を続けるための土台になります。

すべてを一度に始める必要はありません。まず今日、靴下を脱いで足を見て、丁寧に洗うことから始めてみませんか。

足の変化へ早く気づき、必要なケアや治療につなげること。その積み重ねが、健康寿命を支え、いきいきと長生きする力になります。

ご講演くださった高山かおる先生、そしてご参加くださった皆さまに、心より御礼申し上げます。


※本記事は講演内容を一般向けに要約した開催報告であり、個別の診断や治療を目的とするものではありません。足や爪の痛み、腫れ、出血、変色、変形などがある場合は、医療機関へご相談ください。