高齢者のかかとが赤いとき、様子見で大丈夫?床ずれを疑うサインと相談の目安

高齢者のかかとに赤みを見つけたら、「靴下の跡かな」「少し様子を見れば消えるだろう」と決めつけないことが大切です。

結論からお伝えすると、まず赤い部分に圧力がかからないようにし、赤みが消えない、水疱や皮むけがある、紫色・黒っぽい変化がある、熱っぽい、腫れているなどの場合は、できるだけ早く医師または看護師へ相談してください。赤い部位を強く押したり、揉んだり、水疱を破ったりしてはいけません。

かかとの赤みだけでは、床ずれなのか、靴や寝具による一時的な圧迫なのか、別の皮膚トラブルなのかを家庭やケアの現場で確定できません。この記事では診断の方法ではなく、異変を見逃さず、医療相談へつなぐための観察ポイントを整理します。

目次

  1. 最初に行うこと
  2. かかとに床ずれができる理由
  3. 確認したい6つの観察項目
  4. 赤みが消えないときの考え方
  5. 医師・看護師へ相談する目安
  6. してはいけない対応
  7. 日常ケアで確認できる範囲
  8. 足プロができる支援と医療の境界
  9. よくある質問
  10. まとめ

1.最初に行うこと

かかとの赤みを見つけたら、次の順番で対応します。

  1. 赤い部位への圧迫を避ける
  2. 靴、靴下、寝具、姿勢など、何が触れていたかを確認する
  3. 赤みの位置、大きさ、色、皮膚表面の状態を観察する
  4. 水疱、皮むけ、傷、液体、腫れ、熱感などがないか確認する
  5. 観察した時刻と内容を記録する
  6. 赤みが消えない、判断に迷う場合は医師・看護師へ相談する

日本褥瘡学会は、赤みのある皮膚への圧迫を避け、褥瘡の可能性が考えられる場合には医師または看護師へ相談するよう案内しています。骨が突出している部分に赤みを見つけた場合は、かかりつけ医、ケアマネジャー、訪問看護師などへ相談することも勧めています。

「まず揉んで血行を良くしよう」とは考えないでください。赤い部位を揉むことは摩擦となり、弱っている皮膚やその下の組織へさらに負担をかけるおそれがあります。

支援者が高齢者のかかとを明るい場所で観察する様子

2.かかとに床ずれができる理由

床ずれは、医学用語では褥瘡と呼ばれます。身体の一部が寝具や椅子などへ長時間押し付けられ、皮膚やその下の組織の血流が悪くなることで起こる損傷です。

かかとは骨が突出し、仰向けに寝たときに寝具へ接触しやすい場所です。皮膚表面には大きな傷が見えなくても、骨に近い深い部分で組織が傷んでいることがあります。

特に注意したいのは、自分で寝返りや姿勢変更をしにくい方、ベッドや車いすで過ごす時間が長い方、食事量や体重が減っている方、皮膚が薄く乾燥しやすい方、汗や排泄物などで皮膚が湿っている方、むくみが強い方、糖尿病や脳血管疾患がある方、痛みや熱さを感じにくい方、靴・装具・寝具などが同じ場所へ当たり続けている方です。

これらに該当しても床ずれと決まるわけではありません。一方、痛みを訴えていないから安全とも限りません。本人の訴えと、皮膚を見て確認した事実を分けて記録することが重要です。

仰向けでかかとと寝具の接触を確認する様子

3.確認したい6つの観察項目

1.どこが赤いか

かかとの中央、外側、内側、アキレス腱に近い部分など、位置を具体的に確認します。左右のかかとを見比べると変化を説明しやすくなります。

2.赤みはどのくらいの範囲か

定規を皮膚へ強く当てず、おおよその縦・横の長さを記録します。「大きい」「小さい」だけでは、変化を共有しにくいためです。

写真を記録に使う場合は本人の同意を得て、同じ明るさと距離で撮影します。写真だけで診断せず、医療職へ状況を伝える補助として扱います。

3.皮膚表面は保たれているか

赤みだけなのか、水疱、皮むけ、ただれ、ひびや傷、出血、液体や膿のようなもの、黒っぽい部分、紫色の変化が加わっていないかを見ます。

水疱は自分で破らないでください。傷がある場合は、市販薬や家庭にある軟膏を自己判断で塗り分けず、医師または看護師へ相談します。

4.周囲に熱感や腫れがないか

左右のかかとへそっと手を近づけ、周囲の皮膚と比べて熱っぽくないか、腫れていないかを確認します。強く押したり、揉んだりする必要はありません。

熱感、腫れ、広がる赤み、痛み、排膿、発熱などがある場合は、感染を含む医療上の評価が必要になることがあります。速やかに医師または看護師へ連絡してください。

5.痛み、違和感、しびれがないか

「痛いですか」だけでなく、「触れなくても痛みますか」「ヒリヒリしますか」「いつもより熱い、冷たい感じはありますか」「しびれや感覚の鈍さはありますか」「靴や布団が触れると気になりますか」と具体的に聞きます。

回答は本人の言葉として記録します。高齢者や感覚が低下している方では、組織の損傷があっても痛みを感じにくい場合があります。

6.直前まで何が触れていたか

仰向けで寝ていた時間、車いすのフットサポート、靴のかかと部分、靴下の縫い目、寝具のしわなどを確認します。原因をその場で一つに決める必要はありません。「何が、どのくらいの時間、どこへ触れていたか」という事実を医療職へ伝えます。

かかとへ当たる靴下の縫い目と靴を確認する様子

4.赤みが消えないときの考え方

日本褥瘡学会は、赤みの見分け方の一つとして「指押し法」を紹介しています。赤い部分を人差し指で軽く約3秒押し、白っぽく変化するかを見る方法です。

押した部分が白っぽくなり、指を離すと再び赤くなる場合と、軽く押しても赤みが消えない場合を分けて観察します。学会は、押しても赤みが消えない状態を初期の褥瘡を考える材料としています。

ただし、これは家庭で床ずれを確定する検査ではありません。強く押す、何度も押す、赤い部位を揉むことは避けてください。皮膚が弱い方、水疱や傷がある方、押すこと自体が不安な方は行わず、見た状態をそのまま医師・看護師へ伝えます。

圧迫を避けても赤みが残る場合、再び同じ場所が赤くなる場合、判断できない場合は、自己判断で様子見を続けないことが大切です。

かかとの赤みを見つけた日時と観察内容を記録する手元

5.医師・看護師へ相談する目安

できるだけ早く相談したい状態

  • 圧迫を避けても赤みが消えない
  • 同じ場所の赤みを繰り返す
  • 軽く押しても色が変わらない
  • 紫色、暗い赤色、黒っぽい変化がある
  • 水疱、皮むけ、ただれ、傷がある
  • かかとが腫れている、熱っぽい
  • 痛みやしびれがある
  • 本人が自分で寝返りできない
  • 糖尿病や循環に関わる病気があり、足の感覚も低下している
  • 家族や介護職だけでは判断できない

相談先は、かかりつけ医、訪問看護師、施設の看護師などです。ケアマネジャーへ連絡し、適切な相談先につないでもらう方法もあります。

速やかな連絡が必要な状態

  • 赤みや腫れが急に広がる
  • 強い熱感がある
  • 液体、膿、悪臭がある
  • 出血している
  • 発熱や全身状態の悪化がある
  • 皮膚が破れて深い傷になっている

これらの変化がある場合は、通常のフットケアを優先せず、医療相談を優先します。

6.してはいけない対応

赤い部位を揉まない

赤みのある部分を揉む、こする、強く押す行為は、皮膚とその下の組織へ摩擦やずれを加える可能性があります。

水疱を破らない

水疱の中身を家庭で出したり、皮を切ったりしないでください。大きく張った水疱は医療処置が必要になることがあります。

自己判断で薬や被覆材を選ばない

褥瘡に使われる薬や被覆材は、傷の深さ、感染の有無、液体の量などによって選択が異なります。家にある薬、消毒液、絆創膏などを「とりあえず」使い続けるのではなく、医師・看護師へ相談します。

ドーナツ型クッションへかかとを押し込まない

圧迫を避けるつもりでも、置き方によって別の場所へ力が集中することがあります。クッションや体圧分散用具の使い方は、本人の身体状態を知る看護師、リハビリテーション職、ケアマネジャーなどへ確認してください。

7.日常ケアで確認できる範囲

床ずれの診断や治療は医療の範囲です。一方、日常ケアでは、異変を早く見つけ、悪化させないための環境確認ができます。

圧迫と姿勢を見直す

同じ場所へ長く圧力が加わらないよう、本人の状態に合った体位変換や寝具を検討します。日本褥瘡学会は定期的な体位変換、体圧分散寝具の利用を予防策として紹介していますが、適切な方法や間隔には個人差があります。本人の状態に合わせ、医療・介護職と相談して決めます。

皮膚を清潔に保つ

皮膚を洗うときは、強くこすらず、石けんをよく泡立ててやさしく洗い、十分に流します。タオルで拭く際も、摩擦を避けて水分を押さえるように取ります。皮膚が破れている場合は、通常の保清とは対応が異なるため、医師・看護師の指示を確認します。

乾燥している健康な皮膚を保湿する

高齢者の皮膚は乾燥しやすいため、傷のない周囲の皮膚には日常的な保湿が役立ちます。ただし、赤い部分や傷へ何を塗るかは自己判断せず、医療職へ確認してください。

靴・靴下・寝具を確認する

かかとへ当たる縫い目、硬い部分、寝具のしわ、靴の崩れなどを見直します。靴を替えれば赤みが治ると断定せず、「接触していた物」と「皮膚の変化」を分けて記録します。

やわらかいタオルで足の水分を押さえて取る様子

8.足プロができる支援と医療の境界

足プロが行うのは、病気の診断や床ずれの治療ではありません。

傷のない足について、皮膚・爪の状態を観察すること、清潔を保つこと、乾燥した健康な皮膚を保湿すること、靴や靴下の当たり方を確認すること、本人や家族が気づいた変化を整理することがケアの範囲です。

かかとに消えない赤み、水疱、傷、紫色や黒っぽい変化がある場合は、ケアを進める前に医師または看護師への相談を優先します。「この赤みをどこへ相談したらよいか分からない」という場合には、観察した内容を整理し、相談先へつなぐことが大切です。医療相談後に、靴や靴下、日々の足の確認方法について見直したい場合は、足プロの足・靴相談をご利用ください。

高齢者と家族が足の変化について看護師へ相談する様子

9.よくある質問

Q1.赤みがすぐ消えたら、そのままで大丈夫ですか?

一時的な圧迫による赤みの可能性はありますが、同じ場所へ繰り返し現れる場合は、姿勢、寝具、靴、靴下などの当たり方を見直します。自分で姿勢を変えにくい方や、皮膚が弱い方では、赤みが消えても医療・介護職へ共有しておくと安心です。

Q2.赤いかかとへ保湿剤を塗ってもよいですか?

傷のない乾燥した皮膚の日常的な保湿と、床ずれが疑われる赤い部位への処置は分けて考えます。赤みが消えない、水疱や傷がある、何を塗ればよいか判断できない場合は、先に医師・看護師へ確認してください。

Q3.血行を良くするために揉んでもよいですか?

赤い部位は揉まないでください。摩擦やずれにつながります。圧迫を避け、医師・看護師へ相談します。

Q4.写真を撮って相談してもよいですか?

本人の同意とプライバシーに配慮したうえで、経過を伝える補助として役立つことがあります。ただし、写真だけでの自己診断や、インターネット上への公開は避けてください。

Q5.皮膚科へ行けばよいですか?

かかりつけ医、皮膚科、形成外科などが相談先になります。訪問看護を利用している場合は、まず訪問看護師へ連絡できます。受診先に迷う場合は、かかりつけ医やケアマネジャーへ相談してください。

10.まとめ

高齢者のかかとの赤みは、見た目だけで床ずれかどうかを決められません。

大切なのは、赤い場所への圧迫を避け、色、範囲、皮膚表面、熱感、腫れ、痛みなどを観察し、記録することです。赤みが消えない、水疱や傷、紫色・黒っぽい変化、腫れ、熱感などがある場合は、赤い部位を揉んだり自己判断で処置したりせず、医師または看護師へ相談してください。

早く気づき、適切な相談先へつなぐことも、日常のフットケアにおける大切な役割です。

内部リンク案

公式・公的出典

すべて確認日:2026-10-06。

  1. 日本褥瘡学会「褥瘡について」
  2. 日本褥瘡学会「褥瘡の予防について」
  3. 日本褥瘡学会「床ずれ予防の日について」
  4. 日本褥瘡学会「褥瘡の治療について」
  5. WAM NET「家庭介護応援し隊 第4回 床ずれ」
  6. 国立障害者リハビリテーションセンター「自宅での褥瘡予防と発症時の対処法」

※本記事は、かかとの赤みと褥瘡に関する一般的な情報です。個別の診断・処置・体位変換・用具選びは、本人の状態を確認できる医師・看護師等へ相談してください。

足の悩みを、ひとりで抱えないでください

ケアを受けたい方も、学びたい方も。足プロが次の一歩を支えます

足プロは、盛岡市中ノ橋通のフットケア専門店と、足の知識・ケア技術を学ぶ講座を運営しています。目的に合う案内をお選びください。

足の爪・角質・巻き爪などを相談したい方

足の状態を確認し、日常生活に寄り添うフットケアをご案内します。施術内容や料金をご確認のうえ、ご予約いただけます。

施術内容・料金を見る足プロ店舗を予約する

フットケア資格・講座を検討している方

爪切りや足の観察、日常ケアの考え方を基礎から学びたい方へ。講座内容や学び方をご案内しています。

フットケア資格・講座の案内を見る

※足プロのケア・講座は、病気の診断や治療を行う医療行為ではありません。強い痛み、急な腫れ、出血、化膿、発熱などがある場合や、糖尿病・血流障害などで通院中の方は、自己判断せず医療機関へご相談ください。