足部・前足部・中足部・後足部とは?看護・介護の観察記録で迷わない足の部位
「足部に赤みあり」「前足部が痛い」と記録されていても、人によって思い浮かべる範囲が違うと、同じ場所を追って観察できません。足部は一般に足関節より先の部分を指し、構造上は前足部・中足部・後足部の3領域に分けられます。ただし、医療機関や職種によって表記方法が異なることもあるため、用語だけでなく具体的な位置を添えることが大切です。
この記事では、解剖学の暗記ではなく、観察した変化を本人、家族、介護職、看護師、医師の間で同じ場所として共有するための書き方を整理します。
目次
- 足部はどこからどこまでか
- 前足部・中足部・後足部の分け方
- 足背・足底・内側・外側も組み合わせる
- 足趾と爪の位置を伝える
- 記録は「場所+状態+経過」で書く
- 写真記録を扱うときの注意
- ケアを止めて医療へ相談する変化
- よくある質問
- まとめ
1.足部はどこからどこまでですか
解剖学では、足関節より先の部分を足部として扱います。NCBI Bookshelfの解剖学資料では、足部は足関節より遠位の構造で、26個の骨から成ると説明されています。すねを含む「下肢」や、日常語の「あし」より狭い範囲です。
ただし、日常会話では「足」が太ももからつま先までを意味する場合があります。記録や申し送りでは「足が赤い」だけで終わらせず、「右足背」「左踵」「第2趾の爪周囲」のように書くと、確認する人が同じ位置を見やすくなります。

2.前足部・中足部・後足部の分け方
足部は、前から順に前足部、中足部、後足部へ分けて説明されます。
前足部
前足部は、5本の中足骨と足趾の骨を含む、足の前方です。足趾、爪、母趾球・小趾球に近い部分、足底前方の圧がかかりやすい範囲を伝えるときに使います。
中足部
中足部は、舟状骨、立方骨、3つの楔状骨から成る中央部です。見た目だけでは骨の境界を正確に判断しにくいため、日常の記録では「足背中央」「土踏まず付近」など、本人にも分かる表現を添えます。
後足部
後足部は、距骨と踵骨から成る後方です。踵の皮膚変化を記録するときは、後足部という広い用語だけでなく、「踵後面」「踵足底面」「踵外側」と具体化します。
これらは場所を伝えるための区分であり、痛みの原因を自己診断するための分類ではありません。

3.足背・足底・内側・外側も組み合わせます
同じ前足部でも、足の甲側と足裏側では場所が違います。足の甲側は「足背」、足裏側は「足底」と表します。親指側は内側、小指側は外側です。
たとえば、次のように組み合わせます。
- 右前足部の足底、母趾球の外側に赤み
- 左中足部の足背に腫れ
- 右後足部の踵足底面に亀裂
- 左足外側、第5中足骨頭付近に圧痛
最後のような骨の名称は、位置を確かめられる職種が使います。自信がない場合は、無理に専門用語へ置き換えず、「左足の小指の付け根より少しかかと側」のように、誤解の少ない具体表現を使います。

4.足趾と爪の位置を伝える方法
足趾は親指から順に、第1趾、第2趾、第3趾、第4趾、第5趾と表せます。左右を必ず付けます。「人差し指」「薬指」という日常表現は、手指と混同することがあります。
爪周囲は、爪そのもの、爪の横、爪の根元、爪の先端、爪の下で状態が異なります。記録例は次のとおりです。
- 右第1趾、爪の外側の皮膚に赤み
- 左第2趾、爪先端に欠けあり
- 右第5趾、爪周囲に出血なし、圧迫時の痛みあり
- 左第1趾、爪の下に黒い変化。いつからか本人は不明
「巻き爪」「水虫」と診断名を書けるかどうかは、職種と確認方法によります。診断されていない場合は、見たままの色、厚さ、形、痛み、分泌物、経過を書き、医療職へつなぎます。

5.記録は「場所+状態+経過」で書きます
伝わる記録には、少なくとも次の要素を入れます。
- 左右
- 部位
- 足背・足底、内側・外側
- 見た状態(色、腫れ、傷、水疱、亀裂、分泌物など)
- 大きさや範囲
- 本人の訴え
- いつ気づき、前回からどう変わったか
- 行ったケアと相談先、その指示
例として、「右前足部の足底、第2~3趾の付け根付近に約1cmの赤み。皮膚破損なし。歩行時に痛いと話す。昨日は気づかなかった。靴の使用を中止し、看護師へ報告」のように書けば、次の担当者が同じ場所と経過を追えます。

6.写真記録を扱うときの注意
写真は経過を比べる助けになりますが、本人の同意、勤務先の規定、端末とデータの管理が必要です。私物スマートフォンへ保存したり、本人を特定できる情報と一緒に外部へ送ったりしません。撮影する場合は、左右と場所が分かる全体写真と、状態が分かる近接写真を、同じ明るさ・距離で記録します。
写真だけで診断せず、痛み、熱感、経過、全身状態を文章で残します。足プロの一般向けブログに掲載する写真も症例や治療効果の証明には使わず、観察や記録のイメージとして扱います。

7.ケアを止めて医療へ相談する変化
次の変化がある場合、部位を記録するだけで終わらず、医療職へ相談します。
- 新しい傷、水疱、出血、膿、浸出液
- 急な腫れ、赤み、熱感、強い痛み
- 足の色が白い、紫色、黒っぽいなど普段と違う
- 片側だけの腫れや感覚の変化
- 体重をかけられない、転倒や捻りの後から痛い
- 糖尿病、血流障害、神経障害がある方の足の変化
ケアは病変の原因を診断・治療するものではありません。病院に相談・確認のうえ、その方の状態に合うケアを行います。
8.よくある質問
Q1.足部には足首も含まれますか?
解剖学上、足部は一般に足関節より先を指します。ただし、施設や文書の定義が異なる場合があるため、記録では具体的な位置を添えてください。
Q2.中足部と中足骨は同じですか?
同じではありません。中足部は足の中央の領域を指し、中足骨は前足部を構成する5本の骨です。言葉が似ているため注意が必要です。
Q3.部位が分からないときはどう書けばよいですか?
誤った専門用語を使うより、左右、足の甲か足裏か、どの指に近いか、かかとからどのくらいの位置かを具体的に記録します。
9.まとめ
足部は足関節より先の部分で、前足部・中足部・後足部へ分けられます。観察記録では、左右、足背・足底、内側・外側、足趾番号を組み合わせ、「場所+状態+経過」で伝えます。専門用語は診断のためではなく、同じ場所を安全に共有するために使いましょう。
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公式・学術出典
すべて確認日:2026-10-14。
- NCBI Bookshelf “Anatomy, Bony Pelvis and Lower Limb: Foot and Ankle” https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK546698/
- NCBI Bookshelf “Anatomy, Bony Pelvis and Lower Limb: Foot Joints” https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK536941/
- PubMed “Anatomy, Bony Pelvis and Lower Limb: Foot Bones” https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32491379/
- 国立国際医療研究センター・糖尿病情報センター「医療者学習ツール」 https://dmic.jihs.go.jp/medical/130/index.html
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※足プロのケア・講座は、病気の診断や治療を行う医療行為ではありません。強い痛み、急な腫れ、出血、化膿、発熱などがある場合や、糖尿病・血流障害などで通院中の方は、自己判断せず医療機関へご相談ください。


