【折笠の歩み①】足の健康を、生きがいへ。2003年の出会いから始まった取り組み

買い物に出かける。会いたい人に会いに行く。自分の足で立って、いつもの台所に向かう。

そんな毎日の営みを、足元から支えたい。その想いが、岩手県盛岡市を拠点に活動する折笠無我の取り組みの原点です。

一般社団法人生きがいづくり研究所、足プロ、そしてNPO法人日本在宅フットケア普及協会での取り組みは、足や爪のケアを入り口に、人が自分らしく暮らすこと、支える人も働く喜びを感じられることを目指してきました。全3回のシリーズで、その歩みと現在の活動、未来を担う人を育てる講座をご紹介します。

講演会でマイクを手に挨拶する折笠無我

講演会で挨拶する折笠無我。YouTubeの挨拶動画より(1分14秒付近)。

原点は、2003年に目にした一つの記事

折笠がフットケアに関心を持ったきっかけは、2003年に読んだ、高齢者が適切な足のケアを受ける機会の少なさを伝える記事でした。

講演会の挨拶では、足や爪の問題が歩くことの困難につながるという内容に衝撃を受けたと振り返っています。足のことで困っている人がいるなら、何かできないだろうか。その思いには、自分の両親が年齢を重ねたときにも、快適に暮らしてほしいという願いが重なっていました。

身近な家族への思いから、地域で暮らす人たちへ。フットケアを知ることは、折笠にとって、足の健康と人生のつながりを考える始まりになりました。現在のホームページにも、その原点が代表挨拶として記されています。

最初の講演会で感じた、現場の切実な思い

関心を持つだけで終わらせず、岩手でフットケアを広めるために動き始めた折笠。挨拶動画によると、最初の講演会には、ふれあいランド岩手に約200名が集まりました。

折笠がそこで強く感じたのは、足のケアに困っている人が現場にたくさんいる、ということでした。多くの人が集まったことを、自分の活動への注目以上に、現場の困りごとの表れとして受け止めたのです。集まってくださった方々の存在が、活動を続ける意味を教えてくれました。

その後は、1日、2日、3日といった勉強の機会をつくりながら、継続して技術を学べる教室へと歩みを進めました。挨拶では、教室を開くまでにはおよそ2年を要したことも語られています。今日の講座は、こうした小さな機会を積み重ねる中で育ってきました。

宮川晴妃先生から学び、地域へ伝える

歩みの中で大きな存在となったのが、メディカルフットケアの普及に取り組んできた宮川晴妃先生です。折笠は挨拶の中で、宮川先生を自分たちの師と紹介しています。

現在の足プロの講座は、フィンランド式フットケアを基礎に、日本の風土や生活習慣に合わせて工夫した知識と技術を伝えています。足と爪を清潔に整えること、安全な爪切りを学ぶこと。そして、目の前の人に丁寧に向き合うことを大切にしています。講座で大切にしている考え方

盛岡で行われた足プロのフットケア講座

公式サイト掲載のフットケア講座の風景。地域で学びを続ける場をつくってきました。

一人が学んだことを、次の誰かへ伝える。その人が職場や家庭で足を気にかけるようになる。講座や勉強会を続けることには、ケアを必要とする方の近くに、支え手を増やす意味があります。

ケアを受ける人にも、支える人にも生きがいを

なぜ、フットケアを行う団体の名前が「生きがいづくり研究所」なのでしょうか。

ホームページの代表挨拶には、ケアを受ける方の喜びが、介護する人の生きがいにもつながるという考えが示されています。足に触れ、話を聞き、その方を大切にする時間をつくる。そこから生まれる関係を、私たちは大事にしてきました。

足を整えることを通じて、その人の暮らしに関わる。喜んでいただける経験を、ケアを続ける力にしていく。折笠の取り組みには、この両方の視点があります。

まちの中で、気軽にフットケアを受けられる未来へ

挨拶の結びで折笠が語っているのは、まちの爪切り屋さんが身近で活躍し、どこでも気軽にフットケアを受けられるようにしたい、という目標です。

必要な人が、必要なときに相談できる。家庭でも、医療や介護の現場でも、足を気にかけることが日常になる。その未来に向けて、施術、学びの場、地域への発信を続けています。

折笠自身が活動の歩みを振り返った講演会のご挨拶はこちらからご覧いただけます(YouTube・約12分)。動画の「18年間」は収録当時の活動期間です。

次回は、この想いを形にしているNPOの普及活動と足プロの取り組み、新聞・テレビで紹介されてきた歩みをご紹介します。

本記事は公式ホームページと講演会挨拶の記録をもとに構成しています。参照確認日:2026-09-02。